民間仲介会社による保証サービスが登場

瑕疵保険が満を持してスタートした一方で、ここにきて仲介会社が独自の保証制度を導入するケースが目立っている。先鞭をつけたのは東急リバブルの「リバブルあんしん仲介制度」だ。同社と専属専任または専任媒介契約を結んだ売り主に対し、検査会社による建物検査から最長1年間(引き渡し後3カ月を含む)、200万円までの瑕疵担保責任を同社が保証するというもの。また買い主に対しても引き渡し後1年目まで(4カ月目から9カ月間)の瑕疵について200万円までを同社が保証する。

国の瑕疵保険に比べると保証期間も金額も小ぶりだが、瑕疵保険では対象外となっているシロアリ被害も保証している(上限50万円)。なにより、売り主も買い主も無料で利用できる点がメリットだ。12年10月に首都圏の店舗からスタートし、13年1月末までに全国で申込件数が2000件を超えた。

同様の保証制度は三井不動産リアルティや住友不動産販売も13年1月から開始した。ただし両社のサービスは3月末までの期間限定で、建物の検査を営業担当者が行うことになっている。また大成有楽不動産販売のように、対象を一戸建てに絞っているところもある。

民間のサービスは期間限定のものが多いが、利用の度合いに応じて期間を延長したり、東急リバブルのように恒常的なサービスメニューに加えるケースも出てくるだろう。“重厚長大”的な国の瑕疵保険が普及するのか、それともコンパクトで手軽な民間の保証サービスが広がるのか。答えは消費者の選択次第だが、中古住宅が安心して買える仕組みが定着することを期待したい。

オイコス代表 大森広司
1962年、東京都生まれ。立命館大学法学部卒。住まい研究塾(sumaken.jp)主宰。著書に『新築マンション買うなら今だ!』(すばる舎)など。
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