「SIMロック解除」への秘策とは

表向きには「無料」を掲げ、ユーザーを集めつつも確実に収益を上げるソフトバンク。しかし、この状況を快く思わない業界関係者も多く、行政を巻き込んでの論争も起こりつつある。

まず、接続料に関しては、09年に総務省から各社への引き下げ要請があり、その議論のなかでドコモからはソフトバンクの価格設定が高すぎるのではないかという指摘があった。

また、今年に入って、携帯電話を他キャリアで使えないようにしている「SIMロック解除」の議論が起こり、iPhoneなどのスマートフォンからSIMロックを解除する、という案も検討されはじめた。仮にSIMロックが解除されれば、通話エリアで他社より劣るとされるソフトバンクからドコモへとユーザーが流出するのは必至とも言える。「今回のSIMロック解除は、ソフトバンクを標的にしているのではないか」と指摘する業界関係者もいるくらいだ。

そんななか、ソフトバンクは4月27日より「ホワイトプラン」の条件を大幅に変更してきた。新規契約で2年間の継続利用を約束すると、契約更新月の翌月から2カ月の基本使用料を無料としたのだ。ただし、契約期間中に解約すると9975円の解除料が必要になる。

仮にユーザーが24回の割賦払いで端末を購入した場合、実際の支払いは契約の3カ月後から始まるため、完済するのは27カ月後ということになる。

ホワイトプランによる2年間の継続利用の更新月に解約しようと思うと、割賦が完済していないので、残債分を数千円支払うことになる。また、完済後に解約しようと思えばすでにホワイトプランの更新を済ませてしまっているため、解除料が9975円必要となる。つまり、解約するにはそれなりに出費が伴う仕組みに変更してきたのだ(解除料が無料で解約できるのは49カ月後ということになる)。

ソフトバンクとしてはユーザーを集め、ようやく収穫期に入ってきたところで、顧客に逃げられるようでは困ってしまう。そのため、SIMロック解除が始まろうとも、確実に逃げられないような施策を打ってきたといえるだろう。

(PANA=写真)