UAが「実店舗とネット通販の融合」に積極的な姿勢を取ることができるのは、実店舗がフランチャイズ(FC)ではなく直営という点も大きい。UAでは実店舗で試着しても購入に至らなかった顧客には、品番の書かれたメモを渡し、ネットでの購入を勧めている。直営であれば店頭でもネットでも同じ売り上げだが、FCでは難しい。
また直営のため、価格決定権を手放さずにすむ。ネットでも在庫の割引販売を行っているが、実店舗よりも値引きすることはない。これはどこで買っても損はしないという安心感を生む。
さらにもうひとつ、各事業本部の責任者が、実店舗とネットの責任を兼務するという点も見のがせない。相川氏が部長を務めるデジタルマーケティング部は統括的役割を果たすだけで、販売責任はブランドごとにある。このため「売り上げを最大化させるには、ネットと実店舗をどう活用するか」という視点が徹底される。現在、UAのオンラインストアでは、商品を選ぶと、通販用の在庫とは別に、各店の最新の在庫が確認できる。データ更新は1時間半に1回。最寄りの店にいけば、商品の試着も可能だ。UAはネットと“リアル”の距離をどんどん近づけている。
(文中敬称略)
ユナイテッドアローズ
●ネット通販の売上高は119億円。全体の11%に
●実店舗とネットの「ポイント」を共通化
●ネット併用客の購入金額は、店舗客の2.5倍
●ネット通販の売上高は119億円。全体の11%に
●実店舗とネットの「ポイント」を共通化
●ネット併用客の購入金額は、店舗客の2.5倍
(遠藤素子=撮影)