一番の小心者であれば決して叱られない
私も小心者で、会社を潰してしまわないか心配で心配でたまりませんでした。そして今日まで、もうこれでいいと思ったことは一度たりともありません。会社を経営して人様からお叱りを受けたことがなかったのも、人から指摘を受ける前に先回りして問題を解決しようとしてきたのがよかったのだと思います。
京セラは、創業した当初から黒字で、現在までの53年間、ずっと黒字を続け、ただの一度たりとも赤字になったことがない。その間にはオイルショックや円高ショック、リーマンショックといった大きな経済波動も受けましたが、そういう経済的に困難な局面に遭遇しても、赤字にならなかったばかりか利益率10%程度を維持しています。
それは、全社員が必死で頑張ってくれた結果ではありますが、私が誰よりも小心者で心配性だったことも影響している気がします。
(吉田茂人=インタビュー・構成 若杉憲司、小倉和徳=撮影)