これが事業の場合、「当座買い」はどのように行われるのか。伊藤さんの事務所の顧客の美容院経営者が、稲盛流のアメーバ経営(部門別採算管理)を実践している同業者の店舗を見学に行ったときの話だ。自分の店では在庫を10個ストックしている部材が、その店では2個しかないので驚いた。聞けば、来店客にその都度、次回来店時はどのメニューを予定しているかを聞き、いつ何がどれだけ必要か計画を立て、その分確保しているという。余分な部材で場所もとらず、在庫管理も不要。まさに一升買いの実践例だった。

稲盛流会計学には「キャッシュベース経営の原則」もある。実際の「お金の動き」を重視する。「これも個人の生活に応用できる」と伊藤氏はいう。

「買い物はなるべくキャッシュで払う。お金を使えば財布の中身は減るので、出費を“見える化”するには現金が一番見えやすい。クレジットカードは出費の意識が薄れがちなので、使うなら控えを早く綴じて集計し、出費を見える化する。出費が増えがちな人は、一升買いのルールとキャッシュベースの生活を実践してはどうでしょう」

 【稲盛哲学】当座買いのすすめ――必要なときに必要なだけ購入する
佐々木 昭人
ファイナンシャル・プランナー。ロムルス代表取締役。1972年生まれ。生命保険の営業を経て、2007年より現在の事務所を立ち上げ、生命保険のコンサルティングを行う。09年より盛和塾新潟に参加している。
伊藤 正孝
税理士、ファイナンシャル・プランナー。1960年生まれ。プライス・ウォーターハウス・クーパースを経て、2004年に伊藤正孝税理士事務所を立ち上げる。稲盛氏の勉強会「盛和塾」では盛和塾横浜の元会計担当事務局を務めた。
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