年々人口が減少の一途を辿る日本にいると、「マイナス成長」が当たり前のように思えてくる。しかしながら、世界に目を転じれば、「成長のポテンシャル」を持つ国々が溢れている。タイで、ビジネスチャンスを見つけた人たちを追ってみた。
アラフォー元銀行員が販売する商材
日系ドラッグストア、ツルハドラッグのコスメ部門で月間売り上げナンバーワン。いまも常に売り上げトップ5にランクインしている「HASU ジェルクリーム」は、日本女性の間ではすっかりポピュラーなカテゴリーとなったオールインワンジェル(化粧水や美容液、クリーム、化粧下地といった機能をすべて備えたスキンケア)の化粧品だ。
作ったのは元銀行員の佐藤伸治氏(43歳)。化粧品とは縁もゆかりもなかった佐藤氏がなぜタイで化粧品を売っているのか。
「若いときから海外で仕事をしたいと思っていたものの、残念ながら勤めていた銀行では機会がなかった。60歳までこのままなのかとも思いましたが、いや、体力やモチベーションが充実しているいまこそチャレンジすべきだと決意し、40歳になる直前で銀行を辞めました。化粧品事業を始めたのは、銀行員時代のお客さんの1人がタイによく行っていて、日本にはたくさんあるオールインワンジェルがタイにはあまりないと聞いたからです。試しにひげ剃り後に使ってみたら、肌がすべすべしたことに感動したのが、ちょっとした決め手になった(笑)」
タイの女性の志向も調べた。市場動向もリサーチした。後はやるか、やらないか。11年に家族を残してタイに渡った佐藤氏は、自然派コスメで実績のある大阪のOEM会社にタイ人向けのオールインワンジェルの製造を依頼した。