賃上げの非情な年代別格差、ベテラン社員はつらいよ
しかしながら40代は3000円(1.9%)に落ち、50代となるとさらに1000円(0.3%)にまで落ち込んでしまいました。しかも、昇給0だった人が37%を占めて最多層になっているのです。
中小企業は最近求人難に陥っていますので、若手の確保・定着に苦労しており、初任給を引き上げるなど多めに昇給したことがわかります。そうした若者重視の賃上げの影響か、中高年には渋かったようです。
賃上げされた企業の率自体、大手企業に比べれば中小企業はかなり低い上に、年代別に見ると、こうした格差があることも明るみに出たのです。
この「配分格差」は何を示唆しているのでしょうか。
私は来年以降、仮に賃上げがあったとしても「若者優遇、ベテラン層冷遇」という図式が継続される可能性があると考えます。
なお、「女性」の昇給は3800円(1.9%の賃上げ)でした。ただし、昇給が0だった人も9%いました。50代の女性の最大多数は昇給0でした。
大手企業は業績を上げていますが、その一方で、取引先の中小企業に対して価格の引き下げをしているとの情報もしばしば耳にします。そうやって大手が中小から収奪することで、業績を上げるという形は正しいとはいえず、格差社会を助長させかねません。
こうした弱肉強食のような関係がまかり通った結果、大手の多くが賃上げするけれど、中小はごくわずかしか賃上げできず、しかもベテラン層がしわ寄せを食うというのであれば、それはあまりに残酷で残念な結果と言わざるをえません。
2014年は、物価が上がりました。消費税も上がりました。電気代も上がりました。社会保険料だってじわじわと上がっています。世の中は、給与にもいよいよアベノミクス効果が出始めた、といった好意的な受け止め方をする向きが多いのかもしれません。
しかし、私にはサラリーマンの大多数を占める中小企業に勤務する庶民の暮らしは、むしろ楽な方向に向かってはいないと感じています。