小保方氏の上司は「自己弁護」に必死
理化学研究所(理研)が迷走している。
「STAP細胞」の研究論文をめぐる問題について、理研の調査委員会は4月1日、記者会見を開き、論文の筆頭著者である小保方晴子・研究ユニットリーダーによる捏造や改竄があったという報告書を公表した。
これに対し小保方氏は、4月8日、理研に不服申し立てを行い、翌9日に記者会見した。21日には理研に追加資料と数十枚にわたる陳述書を提出し、「論文を仕上げる過程で差し替えを忘れた」などと、理研の調査委員会が不正と認定した行為は捏造や改竄には当たらないとあらためて主張した。
理研と小保方氏の主張は平行線をたどり、いまや泥仕合の様相を呈してきた。このままでは、両者の論争は訴訟へと発展する可能性が高い。そうなれば、解決には数年の時間が必要になるだろう。
この間、国内外の研究者は、STAP細胞に対して急速に懐疑的になりつつある。カリフォルニア大学のノフラー博士が行った調査によれば、ネイチャー誌に論文が発表された当初は、約6割の研究者が肯定的、約2割の研究者が否定的だったが、4月10日時点では、肯定的な研究者は約3割、否定的な研究者は約6割と逆転している。特に日本の研究者に限れば、肯定的な研究者は約1割、否定的な研究者は約8割である。殆どの研究者が信用していないと言ってもいい。
今回の騒動はSTAP細胞の存在以外に、もう一つ、大きな争点をはらんでいる。それは理研のガバナンスだ。
筆者が注目するのは、4月16日の笹井芳樹・副センター長の記者会見である。笹井氏は、世界で初めてマウスのES細胞を用いた網膜再生に成功した人物だ。最年少で京都大学医学部の教授に就任し、ノーベル賞候補にも名前が挙がる我が国有数の研究者だ。