大型テレビの売れ行きが順調だ。40型台のテレビの販売台数は2013年3月から、50型以上は11月からプラスに転じている。牽引役はフルハイビジョンの4倍の高画質を持つ4Kテレビだ。現在、日本で発売されている4Kテレビはすべて50型以上だが、50型以上のテレビに占める割合は金額ベースで約3割に達している。
こうした大型、高付加価値モデルの好調ぶりが、テレビの平均価格を押し上げている。13年12月の平均価格は6万3800円と前年同月比で1万2000円近く上昇した。
一方、20型未満の小型テレビは苦戦している。13年12月の販売台数は前年同月比47.2%。背景には2万円未満の廉価モデルが激減したことがある。11年の地上デジタルテレビ放送移行前後、ユーザーの買い替え需要に対応するため、メーカー各社は競って安い製品を投入した。だが、こうした需要が一巡したと見られる。
テレビ市場全体を見ると、平均単価と販売金額は上昇しているものの、販売台数は依然として前年割れが続いている。ただ、その下げ幅も縮小しつつある。ようやく“地デジ化バブル”崩壊からの回復の兆しが見えてきたと言えよう。
4Kテレビなどの高付加価値モデルを主役に、14年上半期は好調に推移すると考えられる。消費増税前の駆け込み需要、6月から開催されるサッカー・ワールドカップなどのスポーツイベント需要などが後押しするだろう。
もう一つの好材料が買い替えの波だ。テレビの買い替えのサイクルは、一般に7年程度と言われている。今年は、地上波デジタル放送が全国の主要県庁所在地および近接する市町村で開始されてから、およそ7年。早い時期に地デジ対応テレビを購入したアーリーアダプター(初期採用者)層を中心に、買い替え需要が高まると考えられる。
ただ、下半期以降は、ふたたび厳しい状況に戻る可能性が高い。頼みの4Kテレビも、それに対応した放送が開始されていないのが現状だ。今年、ようやく4Kの試験放送が始まるという状況で、本放送の開始は早くても来年以降。普及段階に乗るまでにはまだまだ時間がかかるだろう。