5.選択と集中にこだわらない
限られた資源を有効に使うには、すべきことをできるだけ絞り込んだほうがいいというのはまさにそのとおりだ。だが、それはすべきことがほぼ100%正しいとわかっているときにとるべき戦略であって、外部環境などが不確定な時代には、むしろ選択と集中にこだわらないほうがいい。
選択と集中を個人のキャリアやチャレンジに適用する人も多いが、これも必ずしも正しいとは言えない。挑戦の範囲が狭くなるという弊害が出てくるからだ。
僕は、とくに若いうちはできるだけ広い分野に挑戦したほうがいいと思う。得意なことだけうまくやるより、多少ケガをしても専門分野と知見を増やしておいたほうが将来の成長につながるし、「あのとき挑戦して学んだことが、偶然次に挑戦したことに役立った」ということが往々にしてあるからだ。
僕も違うことに挑戦するたびに、いろいろな引き出しが増え、いますぐ役立つ経験ではなくても、将来使える経験がどんどん増えていくという感覚をもっている。
6.人を巻き込む
自分だけでやろうとすると、どうしても視野が狭まり、考え方も独善に陥りがちだ。また、失敗した場合、リスクを一人で背負い込まなければならなくなる。だから、とくに経験が浅いこと、不慣れなことにリスクをとって挑戦するときは、その分野に明るい人や精通している人などを巻き込んだほうがいい。
そうすれば、たとえ結果は出なくても、より多くのことを学べるし、そこで将来につながる人脈を築くこともできる。
ちなみに、これに近いことを、僕がコンサルタントの修業をさせてもらったドリームインキュベータ(DI)では、Borrowing Power(借りる力)と呼んで、いろいろな人を巻き込むことを推奨していた。
僕の経験から言えば、人をうまく巻き込める人は、常に人に共感してもらうことを意識しており、またその「共感」を「応援」につなげることがうまい。これは非常に重要で、「共感してもらう」だけではまだ他人事だが、「応援する」になると自分事になって、実際のサポートにつながるのである。
7.メンターを身近に置く
未知の課題に挑戦するときは誰だって不安になる。そういうとき相談したり、悩みを聞いてくれたりする人が近くにいると心強いし、一歩を踏み出しやすくなる。普段からそういう人を探し、メンターになってもらおう。