新しい枠組みをつくるための3つの作業

さて、枠から出たらどうするか。

自分のやりたいことが別の枠内で実現できるとわかっているなら、新たにその枠組みのなかに居場所を求める。これも立派な挑戦だ。

けれども、そういう既存の枠がない場合は、自分で新しい枠組みをつくるしかない。それには、次の3つの作業を繰り返すのが効果的だ。

【A】調べる・学ぶ

自分の興味のあるジャンルで、世の中にどんな成功事例があるのか、もしくは失敗事例があるのかを調べることにはとても意義がある。

よほどの天才でもない限り、アイデアがポッと出てくることはない。一般に、新しいアイデアとは既存のアイデアの組み合わせだ。そこで、既存のアイデアを大量にインプットする。組み合わせる要素を増やすのである。

そして何か考えついたら、「こういうことができないか」「すでに誰かやっていないか」「これを実現するにはどんな知識や技術がいるのか」など、疑問に思ったことをインターネットや専門書、業界紙などで納得するまで調べる。とくに海外の事例は参考になる場合が多い。

【B】考える

調べたことや学んだことは、そのまま信じるのではなく、一度深く考えることが重要だ。

たとえば、ある会社が成功していれば、それをそのまま真似するのではなく、なぜ、どのような条件下で成功しているのか、自分であればどのようにすべきか。海外の成功事例であれば、日本にもってくるにはどうすればいいのか。また、ほかの事業アイデアとの組み合わせはないかなどを考える。

失敗事例は、なぜ失敗したのかを徹底的に考え抜く。

事業化するなら、最低でも100通りの案を書き出してみよう。 

【C】人と会う・話す

専門家やその道のプロ、まったく違う環境で仕事をしてきた人・育った人、さまざまな経験者などに会って話を聞く、ブレストにつき合ってもらう、あるいは教えてもらう。

外国人、世代の違う人など、これまでの人生で接点のなかった人たちとの話ほど新しい気づきをもたらしてくれることが多い。

そして、何か新しい視点を見つけたら再度Aに戻ってまた調べるか、Bに戻って深く考えてみる。

 このサイクルをぐるぐるとずっと回し続けるのである。

A、B、Cはどんな順番でもいい。考えて(B)、調べてみて(A)、そして人にぶつけてみる(C)というパターンでもいい。そうして、自分の課題がはっきりしてきたら、それを自分の扱える範囲まで狭め、事業の青写真をつくるのである。

 僕の経験から言えば、やるべきことが明確で、成功確率が6割見込めれば、スタートしたほうがいい。あとは事業を進めながら調整していけばいいのである。

それから、事業化の際は、最悪の事態を必ず想定しておくこと。思惑どおりいかなくてもダメージはここまでということがわかっていれば、スタートに当たっていたずらに不安にならずにすむ。

また、失敗したら残りの人生が借金の返済で終わってしまうような、無謀な挑戦はしないほうがいい。ちなみに、僕がピース・トゥ・ピースを始めるときは、それまでの蓄えの3分の1までは投資していいと事前に決めていた。これならもしうまくいかなくても、同じ規模の挑戦があと2回できるからだ。自己資金で起業を考えている人は参考にしてほしい。

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