枠の外に出るのか、出ないのか
まずは、いま自分がどんな枠組みのなかで働いているかを把握するところから始める。寅さんのような風来坊ならいざ知らず、普通の人は部署、会社、業界といった枠組みのなかで仕事をしている。しかし、それが当たり前になってしまうと、そこに枠があることにすら気づかなくなる。そこで、自分の周りにどんな枠があるのかを、意識して確認するのだ。
次に、その枠のなかで不自由や居心地の悪さを感じていないかを自分に問うてみる。毎日が充実していてなんの不満もないなら問題はない。そこで頑張り続ければいい。
だが、もし具体的にどこと特定できなくても、なんとなく違和感があったり、日々の仕事に充実感を得られなかったりしているようなら、その違和感は何なのか、仕事に充実感がないのはなぜなのか、時間をかけて突き詰める。
もしそれが枠のなかで解決できないのであれば、そういう人は枠の外に出ることを真剣に考えるべきだ。
枠の外に出るか否か。それを決めるのに必要なのは、冷静な判断力である。枠を出た場合に自分に起きるプラスとマイナス。アップサイドとダウンサイド。キャリア形成に与える影響……こういうことを一つひとつ検討していくのだ。
ただし、あまり考えすぎるとネガティブな側面ばかりが気になって、枠から飛び出そうという気持ちが萎えてしまう。基本的には、現状に満足していないという自覚があるなら、いまの枠組みにとどまる積極的な理由はない。出たほうが成長機会は大きくなるという前提で考えたほうがいい。
それに、人が後悔するのはたいてい、意欲はあったけれど行動を起こさなかったことに対してであって、自らの意思で行ったことは、たとえ結果が想像と違っても、案外受け入れられるものなのである。