「憲法違反」で国を訴えた漫画家
「愛子天皇」待望論の火付け役になったのは、漫画家の小林よしのり氏である。小林氏は、『愛子天皇論』(扶桑社)を立て続けに3冊刊行し、その動きを確実にリードしてきた。
その小林氏が、改正された皇室典範は憲法に違反するとして国を訴えたのだ。小林氏は、改正された皇室典範において、旧宮家からの養子が可能になったことを問題視している。
日本国憲法の第14条では、「門地」による差別を禁止している。門地とは家柄のことであり、新たな養子制度が旧宮家という特定の家にだけ可能になったのはそれに反しており、改正皇室典範は無効だというのである。
小林氏は、違憲の疑いがある法律を成立させたことで精神的苦痛を受けたとして、あわせて100万円の損害賠償を求めている。
新たな「差別制度」化する改正皇室典範
天皇や皇族の場合には特殊で、すべての国民が入っている戸籍には記載されていない。その代わりに皇統譜に記されているのだが、これまでほかに、特別扱いされる国民はいっさいいなかった。にもかかわらず、なぜ旧宮家の人間、しかも、その家の男子だけが養子となって皇族になることができるのか。そこに、これまで存在しなかった「特権階級」が生まれてしまったのだ。
これは、新たな差別が生まれたことを意味する。しかも、養子は男子に限定されるし、皇族の女性が結婚後に皇室にとどまっても、その配偶者や子どもは皇族にはなれない。こちらは明らかな女性差別である。しかも、女性は皇位を継承できない。これこそが、男尊女卑である。
新たに門地による差別や女性差別が法律として成立してしまったことは、日本社会が、差別の撤廃という面で、はなはだしく後退してしまったことを意味する。時代に逆行しているといわざるを得ないのだ。
それは国民にとって暗い出来事であり、とてもそこに明るさを見いだすことなどできない。

