バリスタたちの「秘密・安全管理」も徹底
ここで働くバリスタたちも、政府関係施設にサービスを提供するケータリング会社を通じて採用されたプロフェッショナルだ。厳格な面接と身元調査をパスしなければ、このカウンターに立つことはできない。
身内や友人に対しても、自分が働いている具体的な場所を明かすことはできない。退勤の際には、CIA側の担当者の付き添いが必要となるほどの徹底ぶりだ。
こんなエピソードもある。ある新人バリスタが初出勤の日にスマホのGPSへ勤務地を入力しようとしたところ、画面の地図には何も表示されなかった。
困った彼女が自ら採用担当者へ電話し、道順を尋ねるうちに、自分の職場がCIA本部内にあることを初めて知ったという。
さらに、店員には安全上の注意が繰り返し伝えられている。もし勤務先について不自然に詮索してくる人間がいれば、すぐに報告するよう求められている。
店内は「カフェイン中毒の局員」たちで大混雑
『ワシントン・ポスト』紙が「ステルス・スタバ」と形容したこの場所は、閉鎖的なオフィスで働く彼らにとって、数少ない人間味を感じられるオアシスだ。
本部の外へコーヒーを飲みに行くことは、警備上気軽にはできない。そのためカウンターの前は、カフェイン中毒の局員たちで常に混雑している。
列の長さにうんざりした高官が、後ろの若手局員に向かって「今日は国のために何か有益な仕事をしましたか?」とブラックジョークをささやく光景も見られるという。
家族にさえ自分の本当の配属先をいえない極限の機密保持の世界だ。そんな中で生きる彼らは、このスタバの列で偶然、高校や大学時代の友人に再会することもある。そこで初めて互いがCIAの同僚だったと知る、といったドラマのような瞬間も現実に起きているのだ。
また『ワシントン・ポスト』は、本部内にあるダイニング・ルームの様子も伝えている。ランチタイムのみ営業されるこの食堂では、スープが4ドル、メインディッシュが20ドル前後で提供される。局員たちはデスクを長く離れられないため、メニューはスピード最優先の構成だ。

