豪海軍少将「娘を乗せるなら日本の艦に」
統合化されたCICと艦橋の無人化は、省人化だけでなく、人命を守ることを最優先にするという運用思想の表れでもある。
「帝国海軍は、大事な熟練乗員の命を失い過ぎました。海上自衛隊は何があっても乗員の命を守って陸に返さないといけません。フリゲートは災害派遣や平時に警戒監視する船で、ずっと戦闘をするわけではない。攻撃されたら反撃して離脱する、いわゆる『逃げる船』でいい。いざというとき艦橋を無人にしても航行できるようにしたのも、乗員をひとりも失いたくないからでした」
人命最優先の設計は他にもある。フリゲートにとって最大の防御は敵に見つからないことであり、新型FFMはステルス性能を徹底的に高めた。機密ゆえに具体的なことを教えてもらえなかったが、ステルス性に対するオーストラリア海軍の反応は上々だった。実際、佐々木海将補のカウンターパートである海軍少将は、最後まで競ったドイツの護衛艦との違いを議会で説明する際、こう語ったという。
「少将は娘さんが2人いるのですが、『もし娘たちが海軍に入隊するなら、親としては日本の新型FFMに乗せたい』と説明したそうです。子どもを思う親の気持ちは万国共通。新型FFMは、その気持ちに応えられるだけのステルス性の高さを備えています」
iPhoneのように進化し続ける護衛艦
オーストラリア海軍が評価したであろう新型FFMの特徴は他にもある。拡張性の高さだ。防衛装備品は進化を続けているが、従来は新しい技術を取り入れるたびに装備を一からつくり直さなければならなかった。しかし、防衛装備品の刷新には膨大なコストや時間がかかる。この問題を新型FFMはシステムアップデートで解決した。
「新型FFMは単なる船ではなく、システム・オブ・システムズです。船体は40年持つようにつくってあって、その間の進化はコンバット・マネジメント・システム(戦闘管理システム)などシステムを更新することで対応できます」
iPhoneにたとえるなら、スマホ本体を買い替えなくてもiOSのアップデートで最新の機能を利用できるのと同じだ。また、システムはオープンアーキテクチャーの仕様になっている。
iPhoneでアプリ事業者がアプリを提供するように、オーストラリアの軍需関連会社が後からアプリケーションを提供できる。地元の産業界のビジネスチャンスにつながることもアピールポイントになった。

