運動は室内で全身を使って
運動は何をしているかといえば、ほとんど「家事」です。
掃除、洗濯、買い物、料理。目線はいつも床に近くて、猫がうろうろしているの。でも、そのぶん、しゃがんだり立ったり、腕を伸ばしたり、意外と全身を使っているわね。
「散歩を目的とした散歩」はあまりしないけれど、お使いや郵便局に行くときは必ず歩きます。そのとき、できるだけ並木道を通るようにして、花の匂いや土の匂いを感じるのよ。それだけでもう、「今日もいい運動をしたわ」と満足ね。
階段とエスカレーターがあれば、できるだけ階段を選びます。旅先で買ったお気に入りのステッキを、そのうち使うのが楽しみ。
足腰を保ついちばんのコツは、「なるべくこまめに体を動かすこと」と「さぼりすぎないこと」。でも、しんどいときは、ちゃんと横になって目を閉じる。目を閉じるだけでも、脳には立派な休息になるそうよ。
電車の中でも、病院の待合室でも、まぶたをそっと閉じて、「今から5分だけ、心を休ませます」と宣言するの。
電話で、ひどく嘆き悲しんでいる人の話を聞くときも、自分まで「犠牲者」にならないように、心の中で一歩引いている自分をイメージしているわ。スローモーション。
田中泯さんの踊りのように。「はい、あわてない、あわてない。そうそう、OKですよー」。おまじないの言葉ね。
健康法はゆっくり深呼吸と「ありがとう」
健康診断についても、あまりマメなほうではないわね。病院に行って、細かい数値をいろいろいわれると、そこに意識が集中して、かえって具合が悪くなりそうな気がするから。もちろん、必要な検査は受けたほうがいいとは思うのよ。
でも、「何も心配ないですよ」といわれるために通う、というよりは、「今、楽しく暮らせているか」を自分に聞くほうを、大事にしたいわね。そういう意味で、わたしにとっての健康法は、ゆっくり深呼吸をすることと、「ありがとう」ということかな。
「うれしい、うれしい、ありがとう」
「今日も楽しかった、ありがとう」
そういい続けていると、本当にそういう出来事が集まってくるような気がするわ。
京都でトークをしたとき、終演後に会場を出たら、見知らぬご婦人が、そっとわたしに近づいてきて、抱きしめてくださったことがあるの。
「失礼かもしれないけれど、うれしくて、どうしてもハグしたくなったの」と。「とっても98歳には見えませんわ」と励ましていただきました。
わたしは88歳なんですけれど(笑)。

