若年期、中年期、高齢期の予防
ランセット委員会の報告には、もうひとつ大切なポイントがあります。認知症の予防を、生涯を通じた取り組みとして考えていることです。そのため、人生を若年期、中年期、高齢期の3つに分けています。
委員会は、おおむね18歳未満を若年期、18~65歳を中年期、65歳を超えてからを高齢期としています。「18歳から中年期なのですか」と思われるかもしれませんが、これは、認知症の危険因子を整理するための研究上の区分と考えてください。
では、なぜ年齢によって分けるのでしょうか。それは、危険因子によって、人生のどの時期から対策することが重要かが異なるためです。
若年期は、十分な教育や学習を通じて、将来の認知機能を支える「脳の蓄え」をつくる時期です。
中年期は、高血圧、糖尿病、肥満、コレステロールの異常などを管理し、難聴、運動不足、喫煙などにも対応して、脳とその血管を守る時期です。
高齢期は、視力を保ち、人や社会とのつながりを維持して、孤立を防ぐことがとくに重要になります。
早く始め、長く続けることが大切
ただし、これらの対策が、その年代だけに必要という意味ではありません。早く始め、できるだけ長く続けることが大切です。認知症の予防は、高齢になってから始めるものではなく、人生の各段階で積み重ねていくものなのです。
それぞれの時期に、その年代に合った対策を行い、それを生涯にわたって続ける。
これが、ランセット委員会が強調しているメッセージです。
そして、もうひとつ重要なメッセージがあります。
「認知症予防を始めるのに、早すぎることも、遅すぎることもない」
これは、ランセット委員会が報告書の中で繰り返し強調している言葉です。危険因子への対策は、早く始めるほどよく、できるだけ長く続けることが大切だと述べています。

