箱根駅伝でワセダは優勝できるのか

では、この出雲駅伝での圧勝の勢いがそのまま正月の箱根駅伝に引き継がれ、早大が往路・復路で他校を蹴散らすことができるのか。

答えは、NOである。そんな簡単な話ではないのだ。

花田監督は2022年6月に母校の駅伝監督に就任した。強化の柱に据えてきたのが「圧倒的な個」だ。

「早稲田は他大学に比べて、選手層が厚くありません。10区間の箱根駅伝で勝とうと思ったら、やはり主要な選手がバンバンバンと区間賞とか区間新を出せるようなチームを作らないと、というのがあります」

選手層の厚い大学に対して、平均的な戦力では勝負しない。突出した個の力でタイム差を生み、それを他の選手が支える。それが花田監督の理想とするチーム像だ。今回の出雲駅伝は、まさに「圧倒的な個」の勝利だった。

出雲駅伝は6区間45.1kmで、少数精鋭でも勝負できる。しかし、全日本大学駅伝(11月1日・伊勢)は8区間106.8km、箱根駅伝は10区間217.1kmと、大会が進むにつれて必要な選手数が増え、ひとりが走る距離も長くなる。特に箱根駅伝では、突出したエースだけでなく、往路5人復路5人、計10人が大きなミスなく、タスキをつなぐ総合力が問われるが、早大にそうした力はあるだろうか。

早稲田大学
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全日本でも優勝候補、しかし箱根は別の戦い

11月の全日本大学駅伝でも、早大は優勝候補の筆頭と考えていいだろう。出雲駅伝の優勝メンバー6人に加えて、3000m障害の日本インカレ王者・佐々木哲(2年)、5000mでU20日本記録を持つ増子がいる。さらに前出の上杉も候補に入ってくる。

全日本大学駅伝は1~6区が9.5~12.8km。今回活躍したスピードランナーたちが十分に対応できる距離だ。7区、8区は長くなるが、マラソンでも活躍する工藤らを配置できる強みもある。

しかし、箱根駅伝となると事情が完全に異なる。

前回の箱根駅伝9区で区間2位に入った主将・小平敦之(4年)、同6区6位の山崎一吹(4年)、昨季の3大駅伝すべてに出場した堀野正太(2年)らも控えるが、ここまで名前を挙げた選手は12人しかいない。

しかも、1年生4人と佐々木は20km以上のレースが未経験だ。実際、箱根駅伝ではひとつの区間で数分の差がつくことも珍しくない。スピードだけでは埋められない差が生まれる可能性がある。

花田監督も箱根駅伝への道のりが簡単ではないことを認めている。

「全日本で勝ったら、本当に箱根駅伝もというところを意識できるかなと思いますけど、まだまだ3冠への道はそんなに近くはないと思っています」