拉致担当大臣でも「喜んで迎える」との言質

――2014年1月、28回目の訪朝を果たしたアントニオ猪木参議院議員は、今回の訪朝で拉致問題解決に向けた大きな成果を得たと明かす。
参議院議員 アントニオ猪木氏

【猪木】相変わらずテレビのコメンテーターは「猪木は北朝鮮の太鼓持ち」「北の宣伝に利用されているだけ」と発言するのだけれど、北朝鮮とパイプを持っているのは現在日本に私しかいない。評論家の多くが、北朝鮮事情に明るくないのに、怪しげな情報ブローカーの話を何も考えずに鵜呑みにしてしまっている印象です。

今回の訪朝の目的はいくつかあります。

1つ目は、張成沢元国防副委員長粛清後の北朝鮮の情勢をこの目で見ること。

2つ目は、国会議員団の訪朝計画を進めること。

3つ目は、昨年11月に私が開設したNPO法人「スポーツ平和交流協会」平壌事務所の機能を強化すること。

4つ目は、今年の夏に平壌で行う予定のスポーツイベントの調整です。

事前に先方から「(張成沢氏処刑の前後で)変わりない」と聞いていたので、私自身に訪朝への不安はまったくありませんでした。でも、張成沢氏処刑のニュースを聞けば、私に訪朝を躊躇する気持ちが芽生えるだろうと考えたのでしょう。先方から「このタイミングでの訪問に感謝します」と言われたほどですから。

また、昨年11月に約束した日本の国会議員団訪朝計画に関しても、大きな進展がありました。今回、北朝鮮が招待状を文書で発行したのです。「北朝鮮が日本に招待状を文書で出す」ことは、過去に例がないのではないか。

日本国内からの反響が大きく、多くの議員よりお声掛けをいただいております。国会議員の多くが外遊に出る5月の連休に、「議員団」として訪朝したいと計画しています。

今回の訪朝で、日朝関係改善の道筋は整いつつあります。あとは安倍晋三総理をはじめ、日本政府がその道を歩くか否かにかかっている。例えば、対北朝鮮強硬派の古屋圭司拉致問題担当大臣であっても、北朝鮮側は「喜んで迎える」と言明して、拉致問題解決に向けて「不明な点があるなら協力して解明しましょう」と申し出てくれた。