「いいね」が思い込みを強化していく
この心理的な傾向は、現代のインターネットやSNSの普及によってさらに強まる傾向にあります。検索エンジンやSNSのしくみは、私たちが過去に閲覧した内容や「いいね」をした情報を学習し、私たちが好みそうな情報を優先的に表示するように作られています。
その結果、自分の意見を肯定してくれるニュースや意見ばかりが画面に並び、反対意見に触れる機会が極端に減ってしまいます。
これを繰り返すことで、自分の考えが世の中の正解であるという思い込みがどんどん強化されていくのです。
日常生活における健康法やダイエット、投資の判断などでも、確証バイアスは頻繁に働いています。自分が良いと信じている健康食品については、そのメリットを説く記事ばかりが目に入り、副作用や効果を疑問視する研究結果は「怪しい情報だ」として切り捨ててしまうことがあります。
これでは、客観的な判断ができず、時に自分にとって不利益な選択をしてしまうリスクが生じます。確証バイアスは人間関係にも見られるもので、注意が必要です。
例えば、一度「この人は仕事ができない」という先入観を持ってしまうと、その人の小さなミスばかりが目につき、素晴らしい成果を出しても「運が良かっただけだ」と思い込んでしまうことがあります。
これが人間関係の悪化や、組織における不当な評価につながることも少なくありません。
似た意見だけが反響するエコーチェンバー
「エコーチェンバー現象」とは、SNSやインターネットの世界において、自分と似た意見や価値観を持つ人ばかりとつながり、それ以外の情報は遮断されてしまう状況を指します。
閉ざされた部屋の中で自分の声が壁に反響する「反響室」のような状態になることから、このように呼ばれています。この現象が起こる大きな理由は、SNSが持つアルゴリズムというしくみにあります。
私たちは日常的にSNSを利用する際、自分が興味のある投稿に「いいね」を押したり、特定のキーワードを検索したりします。
すると、コンピュータは「この人はこういう情報が好きだ」と学習し、その人が喜びそうな投稿ばかりを優先的に表示するようになります。
その結果、自分のスマートフォンの画面は、自分を肯定してくれる意見や、好みのニュースだけで埋め尽くされていきます。
例えば、特定のダイエット方法を熱心にスマホで調べている人がいるとします。その人のスマホには「その方法がいかに効果的か」という体験談や広告ばかりが並びます。
その方法には欠点や注意点もあるはずですが、似た情報ばかりに囲まれているうちに、「これが唯一の正解である」と思い込んでしまうのです。
このように、心地よい情報だけを受け取り続けることで、自分の考えが正しいという確信が過剰に強まってしまいます。

