値上げの天井を決めるのは「消費者」

企業は、好きなだけ価格を上げられるわけではない。

価格は需要と供給のバランスで決まる。メーカーがいくら値上げを打ち出しても、消費者が買わなくなれば、その価格には天井ができる。

外食でも同じだ。客単価の上昇によって売上高を伸ばしていても、客数が伸び悩めば値上げを続けることは難しくなる。


くら寿司が9月4日、最低価格を115円から110円に引き下げ、110円の商品を37品目まで拡充したのも象徴的だ。同時に33品目を値上げし、サーモンや生えびは115円から120円に引き上げた。

全品を値上げすれば客が離れる。だから手に取りやすい価格の商品を残し、値上げできる商品で利益を確保する。これは「企業が自由に値段を決めている」というより、消費者の反応を見ながら価格を組み立てている姿に近い。

コンビニでも同じ動きが出ている。大手各社がおにぎりの値下げに動く背景には、米価の下落だけでなく、値上がりしたおにぎりや弁当から、割安なスーパーやドラッグストアへ顧客が流れているという事情がある。

スーパーマーケットで食料品を買う若いカップル
写真=iStock.com/maroke
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消費者が納得できる説明が必要

値上げした企業が、値下げや販促によって客を呼び戻そうとする。いま食品メーカーや小売りの競争は、「コストがいくら上がったから、いくら値上げするか」だけではなく、消費者が離れない範囲で、どこまで価格を上げられるか。その見極めが、企業の収益を左右するようになっている。

日本経済全体として、企業が利幅を広げているという事実は確認できない。マークアップ率は少なくとも2022年度までは横ばいで、企業はコスト増の6割を価格に転嫁できておらず、「便乗値上げが日本を覆っている」という見方は、データに照らせば正確とは言いにくい。

だが、消費者の疑念が的外れかといえば、そうではない。

価格支配力の強い企業ほど値上げは通りやすい。値上げしても売れ続けるブランドがある一方、価格を据え置かなければシェアを失う企業もある。なぜ今、この商品を、この幅で値上げするのか。その根拠を、企業が消費者に説明できているかどうかを見る必要がある。

その試金石が来年、2027年4月に来る。