シャルドネなど16種類、約5000m2の自社畑

栽培しているぶどうは、シャルドネ、ピノグリ、リースリング、メルロー、シラー、カベルネ・ソービニヨンなど16種類。収穫量は約2000kgと面積に対して多くはないが、ワイン用のぶどうには「肥沃すぎる」といわれる練馬の土壌で、「量より質」を求めて試行錯誤を続けている。

収穫したぶどう
筆者撮影
収穫したぶどう。一箱でおよそ10本のワインができる

これらの畑のぶどうからできたワインが、「ねりまブラン/ルージュ/ロゼ」だ。2025年のねりまルージュ、ロゼはともに完売。筆者がありつけたのは「ねりまブラン」のみだった。ぶどうの味と香りが突出しているのは東京ワイナリーの他産地のワインと共通しているが、すっきりした酸味と深みが共存し、辛口なのにぶどうの甘味もはっきりと感じ取れる。飲んだことのないワインだった。

ねりまワインシリーズは、ラベルも毎年公募している
筆者撮影
ねりまワインシリーズは、ラベルも毎年公募している

醸造と同様に農作業でもボランティアが大活躍し、収穫までの作業を越後屋さんとともに担う。1500人近くのメンバーが登録するほか、有料でぶどう栽培から醸造までを学ぶコミュニティ(栽培くらぶ)には約100人が参加する。

収穫作業
筆者撮影
収穫作業もボランティアが担う

約1500人が重労働の畑に集まるワケ

東京でぶどう栽培やワイン造りに関われる機会は珍しいが、農作業は重労働でもあるはずだ。それなのに、東京ワイナリーにこれほどの人が集まってくるのはなぜなのか。

そのナゾが解けたのは、ボランティアとの雑談だった。

取材中、ワインの醸造作業をするメンバーと話していると、東京ワイナリーに関わるきっかけに話題が及んだ。メンバーの一人は以前からワイン造りに興味があり、山梨の大手ワイナリーが主催する「ぶどう栽培体験」に月1回通っていたという。

そこでは、主催者から詳細な指示があり、「言われた通りに」作業するだけだった。消化不良な気持ちを抱えていると、別の参加者が、東京にはもっと自由にやらせてくれるワイナリーがあると教えてくれた。

実際に東京ワイナリーの栽培に参加すると、そこは完全な「別世界」。基本的なレクチャーはあるが、具体的な作業の判断はメンバー自身に任される。単なる「お手伝い」ではなく、自分で考える楽しさがあった。醸造にも携わることができ、ワイン造りの全体像が見えてくる。気づくと足繁く通うようになっていた。