年収750万円・41歳男性への「お断り」
38歳、大卒の金融機関勤務の女性が、お見合いをすることになった。お相手は41歳の男性。MARCH卒、メーカー勤務で年収は750万円。
身長174センチ、すらりとした体型の彼は、細身のスーツがよく似合う。プロフィールに掲載されているのは、さわやかとしか表現できないような笑顔の写真。かなりの数のお見合いの申し込みが入るのだろうと、容易に想像できる男性だ。
ところが、お見合いが済んでみると、彼女からの返事は「お断り」だった。理由を聞くと、「お見合いにリュック」で来る価値観が、自分とは相容れない、と感じたのだそうだ。
「結婚は恋愛とは違う。いつか子供を持って、育てていく相手とは、同じ方向を向いて子育てをしたい。お見合いにリュックを選ぶ男性は、子供の入学式でも普段着を選び、運動会には革靴を履いてきそうだから」
というのが、彼女の言い分であった。このお断り理由には、私は「ちょっと待った!」をかけた。
確かに、ホテルでのお見合いにどんな服装を選ぶか、どう振る舞うかも、相手を見極める判断材料にはなる。だが、これまでの人生で、格式高い場所などに出かけた経験がない方も少なくない。
それがその場にふさわしくないということを知らないだけの方もいる。結婚生活は、お互いが知らないことや足りないことを補い合っていくもの。リュックを背負ってきたから子供の運動会に革靴を履いていくかも、という理由だけのお断りは、早計である。
「価値観の違い」を埋めるのは難しい
だが、彼女の意思は変わらなかった。
「20代ならともかく、40歳を過ぎても、TPOを知らないのは、価値観の違いを埋めるには相当な時間が必要ですから難しいです」
いまは、東京・丸の内あたりの通勤時間帯には、会社に急ぐ人の波のなかで、男性のほとんどがスーツ姿にリュックという出で立ちである。これは、コロナ禍を過ぎてから、劇的に増えた印象がある。在宅勤務が広がり、パソコンを持ち歩く人が増えたからではないか。
小学生のランドセル同様に、重いものは手持ちカバンに入れるより、背負った方がラクだからだ。男性のみならず、オフィスファッションにリュックを合わせる女性も少なくない。
「オフィスにリュック」は、すっかり市民権を得ており、営業職の外まわりでも、リュックを使うのは当たり前である。
以前のように重いビジネスバッグに資料を入れて歩くのではなく、客先でも、リュックからパソコンを出して、ペーパーレスでの営業活動が行われている。そんな日常だから、前述の男性が何の疑いもなく、ホテルのお見合いに、スーツにリュックという装いで出かけたのであろう。
だが彼女は、この選択を、一生を共にする相手の価値観として受け入れることができなかったのだ。

