中学受験はネット情報に振り回されがち

SNSやネットの掲示板では、「○○中に合格するには小4から塾は必須」「この参考書をやらなきや落ちる」など、情報があふれています。

掲示板の親御さんの声には、「うちの子、遅れてるかも」「もっとやらせなきゃ」とあせりも少なくありません。

そのあせりは、知らず知らずのうちに子どもに伝染します。

子どもの心をひらくためには、まず親が「どの声を聞くか」を選ぶことが大切です。

受験直前期の間違った声がけ

小学校6年生のある男の子のお母さんは、受験直前期にSNSの受験情報のグループを毎晩チェックしていました。

「過去問7年分やってる子もいる」
「理科、社会を先に仕上げてる家庭が多い」

そんな投稿を見るたびに、不安がふくらみ、夜も眠れなくなったそうです。

不安なまま、つい子どもに言ってしまいます。

「ねえ、ほかの子、もっとやってるらしいよ」
「あなたもそろそろ本気出さないと」

その言葉に息子さんは反発しました。

「そうやって比べるの、もうやめてよ!」

保護者面談で、お母さんは泣きながら私に話してくれました。

「私が悪気なくあせっていたのが、子どもをいちばん追い詰めてたんですね」

子ども本人の声をじっくり聞く

その後、お母さんはSNSの受験グループを抜け、代わりに子ども本人に聞く時間を
増やしました。

「今日の勉強、どうだった?」
「○○がんばったんだ、すごいね!」

そう話し、聞くようにしただけで息子さんの表情がやわらぎ、会話が戻ってきました。

不安に耳を傾けるのをやめ、目の前の子どもに耳を傾けた瞬間、家庭の空気が変わったのです。

親が不安を手放すと、子どもは集中を取り戻す

SNSの情報は、「誰かの家庭の正解」であって、あなたの子の正解ではありません。

松澤保成『「自ら勉強する子」の親がしているたった1つのこと』(日本実業出版社)
松澤保成『「自ら勉強する子」の親がしているたった1つのこと』(日本実業出版社)

受験は比較の世界に見えて、じつは「個人戦」です。

あせりや不安をもたらす情報は、聞く力を奪ってしまいます。

SNSにおいて「受験あせり感染」が起きています。

親が落ち着きを失うと、子どもは安心を失います。

親が不安を手放すと、子どもは集中を取り戻します。

つまり、子どものやる気を育てる第一歩は、「どの情報を信じるか」ではなく「何に耳を傾けるか」を決めること。

情報より、表情を。

データより対話を。

その姿勢が、子どもの心を守る最良のフィルターです。

親御さんが情報を集めること自体は悪いことではありません。

けれども、情報を「聞く力」が、子どもへの「聞く姿勢」を弱めることがあるのです。

スマホを置いて、子どもの声に耳を傾けてみてください。

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