親は心配だからこそ言ってしまう

後日、お母さんは塾の面談でポロポロ涙をこぼしました。

「私、そんなつもりで言ったんじゃなかったのに……」

私はこう伝えました。

「成績が下がって傷ついている日に最初伝えることは『価値は変わらないよ』ということです」

次の模試の日。

息子さんはまた成績が下がったプリントをお母さんに見せながら、落ち込んだ目をしていました。

お母さんは深呼吸をして、そっと彼の肩に手を置いて言いました。

「悔しいね。でもね、どんな点数でもあなたの価値は変わらないよ」

その瞬間、彼は静かに泣き出しました。

その夜、彼はひさしぶりに自分から机に向かいました。

自分は見放されていないとわかったからです。

「成功したら認められる」と思う子は失敗に弱い

成績は「結果」。

価値は「存在」。

この2つは、本来まったく別のものなのに、子どもは簡単に結びつけてしまいます。

心理学に「条件づけの価値」という言葉があります。

「できたら価値がある」
「成功したら認められる」

この思考が強い子は、失敗に弱くなります。

逆に、価値と成績を切り離せる子は、失敗に立ち向かえます。

だからこそ、親の言葉が重要なのです。

テストで100点を取って喜ぶ女の子
写真=iStock.com/hanapon1002
※写真はイメージです

子のレジリエンスを引き出す

「勉強の結果」にかかわらず、「あなたの存在の価値」は変わらない。

このメッセージを受け取っている子は、成績が下がっても折れません。

むしろ伸びます。

心が折れにくい子どもは、努力に挑戦を重ねられるからです。

親御さんが伝えるべきメッセージは「できた、できない」ではありません。

本当に届けたいのは、「あなたは何があっても大切な存在だよ」

その言葉が、どんな教材よりも、どんな塾よりも、子どもの心を強くします。

成績が下がった日こそ、「価値は変わらないよ」と伝えられる親でいてください。

子どもはその言葉を、これからの人生のなかで何度も思い出します。

そして、また立ち上がります。