家族の平和な関係を守るための実務

財産はたくさん残されれば残されるほどに、揉めるものです。これは僕の意見ではなく、無数の家族が実証してきた事実です。それ以前は仲のよかった兄弟が、親の遺産の分け方ひとつで口をきかなくなる。そんな話はよく耳にします。

出口治明『老いと死をファクトで考えてみた』(扶桑社新書)
出口治明『老いと死をファクトで考えてみた』(扶桑社新書)

これには、金額の大小は関係ありません。むしろ「うちには揉めるほどの財産はないから」と思って何も対策を取ってこなかった家ほど、揉めたりするものです。

ですから、何かしらの財産をお持ちの人は、誰に何を渡すのかを決めて、法的に有効な形で書面にしておくことをお勧めします。書き方に不安があれば、専門家に相談すればいいです。数万円の相談料で、家族の何十年の平和な関係が守れるなら、安い買い物です。これは終活というより、争いの種を残さないという実務です。残された人への、最後の思いやりと言ってもいいかもしれません。

僕自身はどうかといえば、残念ながら家族や親類が揉めるほどの大きな財産はありません。なので、仮に何かが残っている場合は、すべてその処遇は妻に任せると決めており、本人にもそれを伝えています。それだけです。

細目を全部決めて指示書を残すことより、信頼できる人に「あなたに任せる」と一言伝えておくことの方が、残される側はよほど動きやすいものです。過去に作った指示書は現実の状況とずれることがありますが、その人への信頼はズレることはありません。

プレジデントオンラインをGoogleに優先表示

検索時に関連する記事が表示されます

【関連記事】
「老衰で天国へ」にあこがれる人は知っておいたほうがいい…6000体解剖した法医学者が解説する"本当の死因"
ギャンブルでも、旅行でも、美術品収集でもない…和田秀樹が手を出すなという「世の中で一番金のかかる趣味」
安っぽい服ばかり着ていると人生大損する…トップスタイリストが教える「今すぐやめたい残念な服」の特徴
なぜ日本人夫婦の3組に1組が離婚するのか…「価値観の違い」でも「セックスレス」でもない本当の原因
台所を見れば認知症の予兆がわかる…介護のプロが断言「物忘れ」よりも早く気づける"食卓の異変"