消費が増えているわけではない

総務省の家計調査で実質消費支出(2人以上世帯)を見ると、2025年12月から直近の6月まで7カ月連続でマイナスが続いている。2025年春ごろから11月まで久しぶりにプラスが続いていたが、再びマイナスに沈んでいる。つまり、一見、消費は好調に増えているようでも、実際は価格上昇による増加で、物価上昇を差し引くと実質はマイナスということになる。つまり、消費税収が増えているのも消費が増えているからではなく、物価が上がっているからに他ならない。

一方で、厚生労働省が発表した2026年6月の名目賃金は3.4%増と5カ月連続で3%を超えた。物価上昇を差し引いた実質賃金も1.6%増で6カ月連続のプラスになっている。所得税は3.4%増えた方にかかるわけだから税収が増えているほど実質賃金は増えていない、ということになる。それでも、実質賃金の増加が定着し始めているわけで、本来はそれが消費に回り、企業収益を増やし、さらなる賃上げにつながるという「経済の好循環」につながってほしいわけだ。

ショッピングバッグを持ってアパレルショップの前を歩く女性
写真=iStock.com/andresr
※写真はイメージです

「個人消費を増やすため」なら減税の意味はある

日本のGDP(国内総生産)の6割弱は個人消費である。個人消費を増やす方策を考えるならば、消費税率を引き下げる意味は十分にある。コロナ禍で消費が消滅した時、多くの国が消費税率の引き下げを行ったのは、消費を喚起することが狙いだった。消費税率を引き下げてもそれを補うだけ消費が増えれば、消費税収は増える。残念ながら財務官僚は税収を増やすために税率を引き上げることばかり考えるので、減税という選択肢は出てこない。

一方で、「物価を下げるため」だとすると、消費税率の引き下げは逆効果だ。消費(需要)を増やすので、むしろ価格は上昇する。物価上昇を抑えるには消費(需要)を減らす必要があるので、ガソリンに補助金を出して価格を人為的に抑えれば、ガソリン需要が維持されるので価格は下がらないのと同じだ。

実質消費支出がマイナスになっている今ならば、消費を盛り上げる政策として消費減税は意味がある。本来は経済情勢に応じて弾力的に税率を上下させることができる仕組みにすべきだ。4月実施となると、その時に消費が旺盛になっていたりすると、むしろ食料品の物価を上昇させてしまう可能性もある。

【関連記事】
小泉進次郎氏でも、高市早苗氏でもない…いま自民党内で急浮上している「次の首相」有力候補の意外な名前
地方衰退の一番の原因は「人口減少」ではない…山口の超富裕層が「住民税43億円」をまるっと抱えて移住した理由
「日本円の紙くず化」へのカウントダウンが始まった…高市首相が狙う「借金1342兆円を帳消しにする」禁断の処方箋
バフェットも「現金は危険だ」と警告した…オルカンでもS&P500でもない、インフレ時こそ強さを発揮する「資産」
「年金だけで暮らす人」は早々に手放している…50代までに捨てておくべき「老後のお金を食い潰すもの」8選