利上げだけでは円を復活させられない

リチャード・カッツ『給料を上げれば日本は復活する』(ハヤカワ新書)
リチャード・カッツ『給料を上げれば日本は復活する』(ハヤカワ新書)

ここ4年のあいだ円の価値を決定づけてきたおもな要因は、日本とアメリカの10年物国債の利回りの差だった。アメリカの金利のほうが日本より大幅に高いので、投資家は日本国債、つまり日本円を売って米国債を買う。このような売り圧力があるため、円の価値が切り下げられるのだ。

事実、2001年から2013年、および2021年から2025年にかけて、金利差の変動と円ドルレートの変動とのあいだには、相関係数0.80という非常に高い相関関係があった。

このように示されると、日銀が利上げを容認すれば円は以前のような勢いを取り戻すだろう、と論じる人が出てくるかもしれない。

円の価値はある程度は回復するかもしれないが、10年、20年前の水準まで戻ることはなさそうだ。日本企業の競争力が弱くなっているからだ。それが、時を経るなかで継続して円の価値が切り下げられている理由である。

政界と財界の失敗のツケが国民へ

一般的な傾向として、2021年から2025年にかけては、2001年から2013年の期間と比較すると、同じ日米間の金利差に対し、円の対ドルレートは30円近くの円安になっていた。さらに、高市早苗が首相になることが明らかになったあと、また円はじりじりと下がっていった。だいたいにおいて、為替は一直線に円安に向かうわけではなく、変動しながら徐々に円安になっていく。

たとえば図表2でトレンドラインが示すとおり、金利差が2.0パーセントポイントのとき、2001年から2013年の期間では、平均して1ドル95円だったが、2021年1月から2025年10月の期間には123円だった。2026年の初めには、おおむね1ドル155円まで下がっている。

弱い円とそれによる消費者物価の上昇という影響は、政策立案者と財界のリーダーが経済改革と企業の業績改善に失敗してきたことに対して日本国民が払わされている代償の一部なのだ。日本が経済の活力と国際競争力を取り戻すまで、円は回復しないだろう。

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