勝家の砦と秀吉の砦の違い

また、羽柴方、柴田方それぞれの陣城や砦は、現在も余呉湖周辺に20程度残り、それなりに遺構が確認できるものが多い。それらを検討すると、両者の戦術がよく見える。

両陣営の砦を比較すると、羽柴方の砦は、防御や攻撃のための工夫が凝らされているのに対し、柴田方の砦は規模が小さめで、構造も比較的シンプルである。こうした違いは、どんな理由から生じているのだろうか。

滋賀県立大学名誉教授の中井均氏は〈これは南下して攻撃をしようとする勝家軍は兵の駐屯地としての陣城を構えたことに対して、迎え撃つ秀吉軍はこの防衛ラインを突破されないための巧妙な縄張りの陣城を構えたものと考えられる〉と書いている(『秀吉と家臣団の城』角川選書)。