「有利か不利か」で語る指導者たち
「加盟校」に対するアンケートではほとんどの回答者が「7回制が導入されたら、自分の学校はどうなるだろう」と想像して回答しているような印象だ。回答者の多くは「教育者」「指導者」だ。
「球数制限」問題のときも著名な高校野球指導者から「導入すれば、複数の投手を用意できない学校が不利になる」みたいな意見が多数出たが、教育者として高校野球の将来について考えるのではなく「自分たちの学校が有利か不利か」で意見を述べていることがわかる。
実のところ、日本高野連の考えは少なくとも検討委員会のレベルではアンケート実施以前の段階で、すでに「7回制移行」へとはっきり舵を切っていた。2月には、9~10月に行われる国民スポーツ大会の「高校野球競技」を7回制で行うことを発表していた。
筆者は2024年から高校野球指導者に会うたびに「7回制」について意見を求めてきた。数十人に聞いたが、公立高校の監督は「うちは選手が少ないから助かる」という意見が多かった。
これに対して私学は「選手の出場機会が減る」「完投する投手が増えるので、エースの負担が重くなる恐れも」などの意見が出た。アンケート結果と概ね一致している。
菊池雄星すら持ち合わせない「ロジック」
アンケート結果に対して、エンゼルスの菊池雄星は「7イニング制に反対派の意見は、感情論がほとんどです。『つまらなくなる』『高校野球ではなくなる』など。一方で、賛成派は『怪我を防げる』『熱中症対策』など、ロジカルです。ちなみに僕も7イニング制は『どちらかと言えば反対派』です。しかし僕も例に漏れず、明確なロジックを持っているわけではありません」とSNSで表明した。偽らざる意見ではある。
ざっくり言えば「9回制維持」の主張は「今までやってきた高校野球をそのままやりたい」という願望に根差している。「野球は本来9回でやるスポーツ」「7回にすれば終盤の勝負の醍醐味がなくなる」などという意見は、プロ野球など「興行」であれば重要な根拠となりうるだろうが、「教育の一環」であり「選手の健康を最重要視」すべき高校野球では、正当な「反対理由」になるとは思えない。
この問題について日本高野連は、アンケート結果は厳粛に受け止めるとしても、なおも問題点を提起し、公開ミーティングを行うなどして「7回制」について対話を続け、粘り強く説得していくべきだと思う。
とかく「閉鎖的」で、身内で物事を決めがちな、日本高野連、日本野球界はこの問題を「開かれた議論の場」に上程し、野球好きな日本人が共有する課題にしたうえで、納得ずくで結論を導き出すべきだと思う。



