社会に高校野球の使命を問う
筆者はこの文章に、昨今の高野連の「明らかな変化」を感じ取った。野球だけでなく、日本のスポーツ界は、事件や事故が起きてから対応策を考えるのが常態化している。
その中にあって異例の「先手を打つ」意欲が感じられるのだ。また、身内意識に凝り固まるのではなく「社会から高校野球はどのように見られているのか」「高校野球の社会的使命をどう考えるか」にも言及している。
2018年のタイブレーク制の導入の際には、前年に都道府県連盟にアンケートを取るにとどめたが、今回は学校単位、さらには一般社会にまで問いかけた。これは大きな変化だと言える。
日本高野連事務局長の井本亘は語る。
「『7イニング制等高校野球の諸課題検討会議』のメンバーの間でも、7回制への移行は、かつてない大きな改革になるから、会議の中だけで決めていいのか、という意見が出た。これに対して、アンケートを取った結果、反対が多かったら導入は見送るのか、という慎重論もあったが、最終的には今、皆さんがどう考えておられるか、意見を聞いてみようとなった。高校野球に興味がある方から、全然興味がない方も含めて、いろいろな人がどう見ておられるのか、どういう考えをお持ちなのかをこのタイミングで一回きちんとお聞きした上で、次にどう進むのかを考えよう、ということになった」
「勝負の醍醐味」か「選手の健康」か
アンケートの実施に際しても慎重を期したという。
「いくつかの調査会社に声をかけて私たちの要望に合致したところに調査設計をお願いした。一般への意見の公募だけでなく、この調査会社に登録されているモニターの方にも意見をお聞きする。さらに加盟校にも意見を聞く。つまり、調査は三本立てになっている。自由記述制にしているから、9回制を支持する一般の方の声もたくさん出てくると思う。そうした意見もしっかり受け止めたい」
このアンケートには7回制のメリットとデメリットも列記している。
・試合時間の短縮によって、部員の障害予防を推進でき、安全を重視するメッセージを発信できる。またフレキシブルな試合運営も可能になるが、試合を楽しむ時間は減少する。
・投球数の減少は障害予防の推進につながる。
・「6アウト」が減少することで、部員不足のチームが安全に試合に参加できるが、一方で部員の出場機会の減少につながる可能性がある。
・試合展開は、7回制がスタンダードになっている国際基準へ向けた習熟につながる。しかし、大学、社会人、プロなど9回制の上のカテゴリーとの連続性が喪失する。上のカテゴリーに進んだ際に違和感を持つ恐れもある。
・9回制だった過去の大会との「記録の不連続性」の問題もある。

