相手の警戒心を下げる“前置きフレーズ”
「少し確認したいのですが……」「一度整理させてください……」と前置きするだけで、会話の空気は柔らかくなります。
本題をそのまま切り出すと、相手は身構えてしまうことがあります。
特に指摘や依頼、確認など、相手の行動に関わる話題ほど、いきなり核心に入ると防御的な反応になりやすくなります。そこで有効なのが、本題の前にひとことを添える技術です。
相手の警戒心を下げ、会話の受けとり方を柔らかくするための実用フレーズを紹介します。
「少しだけ相談があるのですが」
相手の意見を聞きたいという想いがあります。そのため、頼られていると相手が考え、耳を傾けやすくなります。
「一つ気になっている点がありまして」
このあとには、重要事項や再確認したい内容が来ることが予想されるので、なにか問題があるのかもしれないと、相手が耳を澄ませます。
このように状況によって、つけ加える言葉を自分で戦略的に使ってみましょう。相手の状況に合わせて、「伝え方」も変わります。
そのうえで、注意しなければならないことがあります。
それは、「なぜ」を多用しないことです。
こうして担当者に嫌われた
とある財団法人での出来事です。
バックオフィス業務の効率化プロジェクトで、数カ月かけて提案をまとめ、最終報告会まで終えていました。
「あとは実行を待つだけ」という状態でした。
理事長を含めた関係者からも一定の評価をいただき、絶対にうまくいくと感じていた私は……ところが、最終決定の連絡がきません。
直接訪問をして、先方の様子を伺うことにしました。
そこで告げられたのは、予想外のひとことでした。
「法人内で検討した結果、不採用とさせてください」
あれだけ評価されていたのに……。私はすぐに原因を探ろうと質問をしました。
「なぜ不採用なのでしょうか? なぜこのメリットが伝わらなかったのでしょう?」
相手はイヤな顔をしながらも言葉を選び、「いえ、本当に良い提案だと思っています。ただ現場が、いまのままで特に困っていない、という意見が多くて……」と返答されたのです。
すると、私は“なぜ”“なぜ”と、気づけば、反論を畳みかけていました。
私の「なぜ」という質問は、相手のことを考えていませんでした。
担当者が私を嫌った瞬間でした。
「この人は、こちらの事情を理解しようとしない」という印象を強く残してしまって、嫌われました。
ひたすらに、自分が納得できる答えを引き出すために質問をしていました。相手の背景や調整の過程を見ようとせず、自分だけの答えを求めた尋問をしてしまっていたのです。

