幸福感の鍵は「充実時間」の長さにある

ところで、あなたは何をしているときに「充実している」と感じますか? 趣味に打ち込んでいるとき、友人と会っているとき、子や孫と話しているとき等々、充実していると感じることは人それぞれですが、1日の中には「充実時間」と「空虚時間」があります。

充実時間とは、何かに集中していて思考の余裕がなく、そのこと以外に注意が向かない時間であり、現役時代の仕事に集中しているときなども、この状態です。空虚時間はその逆で、意識が散漫で思考の余裕がたっぷりある時間です。空虚時間には思考の余裕があるため、充実時間には注意の向かないさまざまなこと、多くの場合、自分の死や、この先のお金のことや、配偶者や子どものことなどの、不安に注意が向かってしまいます。時には若い頃の思い出などに注意が向くこともありますが、それがポジティブな内容であれば、それは充実時間となります。

要するに、1日の中の充実時間を増やすことが、幸福感を高める鍵なのですが、ではどうやって充実時間を増やせばいいでしょうか? それが少しの挑戦と、卓越した自分流です。

窓際の椅子に座って外を眺める高齢男性
定年退職後の男性の意識調査で幸福感が最も低かったのは、無職の人たちだった(※画像はイメージです。)

誘われたら、とりあえず行ってみる

これまでにやったことがなくても、おもしろそうだったらやってみる。人に誘われたら、とりあえず行ってみる。そんなふうに少しの挑戦を重ねることで、やがて打ち込めることが見つかり、続けることでそれが卓越した自分流になる。年をとって、前にできたことができなくなっても、今できる範囲でちょっとした挑戦を続ける。そのようなポジティブな循環を保つことが充実時間を増やし、幸福感を高めることにつながるのです。

佐藤眞一『お医者さんはなぜ「がんで死にたい」と言うのか?』(光文社新書)
佐藤眞一『お医者さんはなぜ「がんで死にたい」と言うのか?』(光文社新書)

ただし、空虚時間に頭に浮かんださまざまな不安については、そこから目を逸らすのではなく、向き合うことが大事です。

不安とは不確定な心もとなさ、すなわち具体的でない気がかりのことですが、これを抱えているとストレスが高まります。この状態を解消するには、モヤモヤとした不安のかたまりを個々の具体的な事柄に分解し、それぞれについてなぜ気がかりなのかを探り、対処法を考えて実践することです。

お金のこと、終末期のこと、親のことなど、気がかりを一つずつ分解すれば対処法を見つけやすく、今後の人生設計も具体的になるはずです。

【関連記事】
「家の近所を歩く」よりずっと効果的…精神科医「ウォーキング効果を最大限に引き出す」とっておきの場所【2026年4月BEST】
「ボディーバッグ」より評判が悪い…休日のイオンで見かける一発で「だらしないお父さん」になるNGアイテム【2026年6月BEST】
ギャンブルでも、旅行でも、美術品収集でもない…和田秀樹が手を出すなという「世の中で一番金のかかる趣味」
台所を見れば認知症の予兆がわかる…介護のプロが断言「物忘れ」よりも早く気づける"食卓の異変"
「相続でモメる家」と「モメない家」の決定的な違い…税理士が断言「"争族"にならない親子の共通点」