従来は、「発地」の考えで商品を開発していたため、首都圏に客を送りたい支店はそれぞれ個別に首都圏に行き、リサーチし、資源を探し出しては商品化していた。だが、これは大いなるムダだ。現在は全国に15人いる観光プロデューサーが全国47都道府県のDMC支店、そして国内商品事業部と連携し、地域に眠る観光資源を発掘し、マルチユース化を図っている。商品化したものは、どこの支店が使ってもいい。海外の支店もしかりだ。田川はDMCをこう位置づける。

「地域の伝統文化などを掘り起こして現代的に見せられるのは、電通でも博報堂でもなく、我々旅行会社だと思うんですよ。これからは体験、つまり『コト消費』をつくり上げていくプロセスが欠かせない。旅行代理店じゃなく旅行メーカーにならなければいけないのではないか」

101年前の1912年に誕生したJTBの前身であるジャパン・ツーリスト・ビューローは、訪日外国人への旅行斡旋が設立目的だった。鉄道院の一官僚、木下淑夫が唱え、JTB設立のきっかけとなった「外客誘致論」にはこうある。「富士山を国立公園にし、瀬戸内海を一大遊覧地帯にして、外人客を世界中から誘致して、国益に貢献することができないものか」。DMC戦略の原点がここにある。

小泉純一郎首相(当時)が観光立国宣言をしてから10年。観光業を軽視してきた政府も、ようやくそのインパクトと将来性に目覚め、空港の整備やビザの緩和など重たい腰を上げ始めた。2013年の訪日外国人数は1000万人に到達した。日本人にとって魅力的な観光資源は、日本を訪れる外国人にもアピールし、リピーター増につながるだろう。地域交流事業は国の助成金頼みで、まだ利益を生み出す仕組みは確立されていないようだが、成功例が増えれば、後に続くプロジェクトも増え、いずれはマネタイズの道筋も見えてくるはずだ。

(文中敬称略)

※資料はすべてJTB、各種資料を基にプレジデント編集部で作成。

(宇佐美雅浩、的野弘路=撮影)
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