稼働率100%超、利益率50%超……高コスト体質であるホテル業界にあって最高水準の利益をたたき出し続ける理由は何か。東京オリンピック開催を見据え、異業種が続々と参入する驚異の高収益業界ビジネスホテルの光と闇に迫る!
企業が地方の拠点、宿泊所を撤去し、事業所を集約する中で、ビジネスホテルの需要が増えている。
観光庁による2012年度の宿泊旅行統計調査報告を見れば、ビジネスホテルの勢いは一目瞭然だ。年間宿泊延べ人数は最多のビジネスホテルで約1億7000万人、次いで旅館の約1億600万人、シティホテル、リゾートホテルの順となっている。そして定員稼働率はシティホテルが60%、ビジネスホテルはわずかに及ばす57%だ。リゾートホテルは38%、旅館に至っては23%である。つまり、ホテル・旅館産業の中で、もはや王者ともいえるのがビジネスホテルなのだ。最大手のアパでは、稼働率が100%を超え、利益率も50%を超える。そんな高収益のビジネスモデルに異業種からも続々と参入が始まっている。
まず着目すべきは、ビジネスホテルの低コストであろう。宴会やレストランなど高コストになりがちなホテル運営の不要な部分を徹底的に削った。
そんな低コスト運営の最前線にあるのが、岐阜に本社を置き、全国に12施設を展開するウィークリー翔だ。1泊1900円からの激安ビジネスホテルである。運営するのは建設会社である希望社。社長の桑原耕司は語る。
「私たちは本来、ホテルは門外漢です。だから不要だと思った設備は業界の常識にとらわれずにバッサリ切り捨てることができる」