戦争継続が刑の確定を先延ばしにする
現在、ネタニヤフ首相は安全保障上の理由で汚職裁判での証言の延期を要請するなど、戦争の継続と首相の座をいいことに審理を棚上げし、事実上、刑の確定の先延ばし工作をしている。ネタニヤフ首相個人としても、戦争を継続させることは自身の政治生命そのものに直結しているのだ。
一方で、国民の声も重要だ。イスラエル国家安全保障研究所の世論調査によると、2026年3月上旬時点で、イスラエル国民の81%が、イランに対するイスラエル・米国合同攻撃を支持している。さらに、63%の国民がイラン政権崩壊まで作戦を継続すべきだとの結果が出た。
国際社会の非難と異なり、イスラエル国民は、対イラン戦争を強く後押ししている。エルサレム・ヘブライ大学がアガム研究所と共同で行った世論調査では、72.5%が、ネタニヤフ首相の「イスラエルは大きな成果を上げ、存亡の危機を取り除いた」という主張を信じていないと回答している。戦争の継続は国民の支持に直結する。国民からの支持率の獲得のためにも、ネタニヤフ首相はそう簡単に戦争をやめるわけにはいかないのだ。
中間選挙を控えたトランプ大統領の葛藤
ただ、イスラエルがイラン攻撃を継続するためには、米国との連携や支援は重要だ。
イスラエルからイランまでは約1000~2000キロメートル以上あり、戦闘機は米軍による空中給油や綿密な作戦計画が必要となる。また、米国は情報収集、衛星監視、ミサイル防衛、兵器補給などでも欠かせない存在だ。
トランプ大統領は、イスラエルの安全保障に多大な支援と配慮を示し、25年6月のミッドナイトハンマー作戦、26年2月の壮絶な怒り作戦を遂行してきた。しかし、イランとの戦争は泥沼化し、さらにはイランのホルムズ海峡の封鎖という最悪の事態まで引き起こした。3月のピューリサーチセンターの世論調査では、米国国民の約59%がイラン戦争に反対している。
ネタニヤフ首相は7月下旬に訪米し、トランプ大統領とイラン情勢を中心に協議を行った。しかし、世論の支持を欠く戦争の継続に、11月の中間選挙を控えたトランプ大統領の足取りは重い。米国の気まぐれな大統領をいかに操り、自らの戦略へと巻き込むかは、重い難題である。
一方、戦時下にあるとはいえ、ネタニヤフ政権の足元が盤石かと言えば、決してそうではない。ネタニヤフ首相が組む連立政権では大きな火種を抱えている。
