自転車と車が共存するための気配り
先日、自動車マニアの人から、「物流クライシスとか言っているんだったら、まず自転車を歩道に戻すべきだよ。そうしないとトラック配送の時間がどんどん長くなっちゃうでしょう」と言われ、筆者は言葉に窮した。
確かに、その可能性は否定できない。
だが安全が絶対正義であるトラックドライバーや運送会社は、自分たちの都合だけを主張するのではなく、むしろ率先して社会全体の交通安全に協力すべきではないか。
葛藤はあれど、車道を走る自転車を受け入れるのが、運送業界としてはあるべき姿であろう。
そして、トラック配送の時間が長くなって困るのは、結局のところ消費者である。ドライな言い方になるが、このツケを運送業界が払う必要はない。
だからこそ、車道を走る自転車利用者は、ちょっとした気配りを考えてほしい。
・信号待ちする車両の脇をすり抜けて前に出ないこと
大原則として、信号待ちをする車両の脇をすり抜けて信号待ちの列の先頭に出るべきではない。抜かされた車両は、再度自転車を追い越さなければならず、ドライバーに余計な心理的負担をかけるばかりでなく、(前述のとおり)これがトラックやバスといった大型車両の場合には、追い越すことが限りなく難しいからである。
・「車両が追い越せる」機会を設けること
たとえば信号待ちの際に後ろにトラックなどがいる場合、信号が変わってすぐに出発するのではなく、トラックなどを先に行かせてから出発するような余裕を持ってほしい。
・車道に出る際には必ず後方を確認すること
自転車で後方を確認するのは、実は熟練したスポーツサイクリストでもなかなか難しい。身体構造上、後ろを振り返ると、どうしても自転車は振り返った方向に曲がりがちだし、後方確認の瞬間は前方確認が疎かになるから恐怖心を感じる人もいるだろう。
後方確認に自信がない人はミラーを装着するか、もしくは車道だけを走行し続ける方が、よほど安全である。
無法地帯から「安全な場所」へ
そして、交通法令を守った走行をするのは大前提である。
繰り返しになるが、もし政府が1970年の時点で自転車道の整備に着手していれば、現在のような自転車無法地帯状態は発生していなかった可能性が高い。つまり自転車事故の被害者を減らせていたはずなのだ。
言ってみれば、私たちは今、政府の失態の尻拭いをさせられている状態なのだが、その政府(当時の政策与党)を選挙で選んだのも、また国民である私たちであることを忘れてはならない。
自転車交通の無法状態をこれ以上放置してはならない。
自転車利用者はきちんとルールを守り、歩道は子どもや高齢者にとっても安全な場所でなければならない。
10年後、20年後のより健全な交通安全社会実現のため、今はすべての道路利用者が新たなルールを学び、実践し、そして我慢しなければならない時期なのだろう。

