猛暑と地震が同時に襲う最悪のシナリオ

熊本の被災地で発生した炎天下の地震は、決して一地域の特殊な事例ではない。近いうちに発生が懸念されている「首都直下地震」や「南海トラフ巨大地震」が、7月や8月の真夏に発生した場合、被害のスケールは熊本の比ではない。

これらの地震では、最新の想定で数百万から1000万人以上という、けた違いの人数が避難生活を余儀なくされるとされる。地震自体による死傷者もけた違いになるだろう。さらに、都市部の膨大な人口が熱中症のリスクに晒されたとき、医療機関はすでに傷病者でパンクしており、熱中症から点滴ひとつ受けることすらできずに命を落とす事態も懸念される。

加えて、平時のようなきれいなトイレもない、それでも排泄物を出すしかなく、猛暑の中で排泄物は山のようにたまっていくだろう。最悪なケースでは、亡くなった方がなすすべもなく腐敗して腐臭を放っていくような事態まで想定されるのだ。

求められる「夏の防災」へのシフト

私たちが真剣に向き合わなければならないのは、「地震の揺れから助かった命が、その後の暑さによって簡単に奪われる」という恐怖の現実なのだ。「地震から助かった。だから大丈夫」ではない。真夏の被災地において、生き延びた後の猛暑は地震そのものにも匹敵するリスクとなって被災者に襲いかかる。

まずは、地震自体で命を落とさないこと(住まいの耐震性確保)、次に怪我をせず(家具の配置見直しや固定)、加えて夏の暑さや冬の寒さに耐えて備えが必要だという意識を持ってほしい。

次にやってくる巨大地震が、真夏の太陽の下で起きないという保証はどこにもない。「揺れへの備え」だけで終わらせるのではなく、猛暑という新たな敵からいかに命を守るか――私たちは今、大地震に加えて、猛暑・酷暑という新たな脅威に対する準備を整えるべき時に来ている。

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