35℃の炎天下、外で過ごす被災者たち

福岡空港で、現地事情に詳しい熊本県内の建築関係者と合流し、最大震度7を観測した宇城うき市から氷川町の現場に到着して真っ先に肌を刺したのは、息をするのも苦しいほどの狂暴な熱気だった。私が住む南関東は、7月後半は不安定な大気の影響でそれまでの猛烈な暑さが若干和らいでいたこともあり、そのギャップは身にこたえるものがあった。

29日は宇城市から氷川町、30日は八代市から宇城市を主に調査を実施したが、29日の宇城市、30日の八代市の最高気温はいずれも35.2℃に達していた。現地入りして調査のために車を出ると、少し歩くだけでアスファルトからは強い陽炎が立ち上り、立っているだけでも汗が噴き出し、頭がクラクラとしてくるような暑さに見舞われた。

そこで私が目にしたのは、非常に痛ましい、そして危険な光景だった。幸いにも電気が通電している地域であっても、家の近くの車内で過ごす方、あるいは家の前や庭先で裸同然となって過ごしているお年寄りも見かけた。

挨拶がてらお話を聞いてみると、「また大きな地震が起こるのが心配だ」とのことであった。この、「繰り返しの大地震」を懸念する声は、現地で何度も耳にすることとなった。地震発生翌日の余震が続く中、熊本県の方々には10年前の恐怖が強烈に焼き付いていたのだ。

家の中にいて、また「本震」が来たら…

10年前とは、「平成28年熊本地震」のことである。平成28年(2016年)4月14日の21時26分、最大震度7を観測する地震が起きた。翌15日は若干地震が少なくなり、家を出て避難していた人のなかには、翌日(15日)に自宅に帰宅した人もいた。

しかし、14日の「前震」発生から約28時間後、再び最大震度7を記録した「本震」は、その晩の4月16日午前1時25分に発生した。本震で命を落とした12人のうち、少なくとも半数がいったん避難しながら帰宅したという報道もある。

「令和8年熊本地震」でも、気象庁は28日の会見で「今後1週間、特に2、3日の間は同程度の地震に注意が必要」であることを示唆した。「同程度」とはほかでもない、「最大震度7の地震」の繰り返しだ。そうなれば10年前の平成28年熊本地震の再来だが、現実に起きたことを経験している人々には、絵空事には映らないだろう。

古い木造家屋も多く、一部に亀裂が入った壁、きしむ柱、傾いた家具――まだ応急危険度判定も進んでおらず、余震はおろか「再度の震度7の地震」も懸念される段階で、それらを目にしながら室内に留まることは、心理的に難しいはずだ。

地震によって倒壊した家
筆者撮影
地震によって倒壊した家