胃酸が逆流する3つの原因
胃酸が食道へ逆流する背景には、単に「胃酸が多い」というだけではなく、複数の要因が関係しています。その主な原因は、大きく3つに分けられます。
1つ目は、胃と食道の境目にある「逆流を防ぐ仕組み」の低下です。
食道と胃のつなぎ目にある下部食道括約筋という筋肉は、普段は胃の内容物が食道へ戻らないように閉じています。一方で、食後に胃が膨らむと一時的に緩むことがあり、食べ過ぎなどで胃の内圧が高まると胃酸が逆流しやすくなります(Goosenberg and Vadakekut, 2025)。
また、胃の一部が胸側に飛び出す「食道裂孔ヘルニア」も、逆流防止機能を低下させる要因として知られています。
2つ目は、逆流した胃酸を処理する食道の防御機能の低下です。
健康な人では、胃酸が一時的に食道へ逆流しても、食道の蠕動運動や唾液による酸の中和作用によって、食道粘膜への影響は抑えられています。しかしGERDでは、この防御機能が低下することで、逆流した胃酸による食道粘膜への刺激が持続しやすくなります(Kasugai and Ogasawara, 2024)。
「胃酸の量」だけではない
3つ目は、胃にかかる圧力の上昇です。
肥満や妊娠などによって腹腔内圧が高まると、胃の内容物が食道側へ押し上げられ、逆流が起こりやすくなります。また、猫背のような前屈姿勢もGERD症状との関連が報告されており、姿勢による腹部への圧迫が逆流に影響する可能性が指摘されています(Imagama et al., 2012)。
このように、逆流性食道炎は単に「胃酸が多い」ことだけで起こるわけではありません。逆流を防ぐ仕組み、逆流した胃酸を処理する仕組み、胃を押し上げる圧力といった複数の要因が関係することで、食道の炎症や粘膜障害につながるのです。
ここまで説明したように、逆流性食道炎は胃酸の量だけで決まるものではなく、逆流を起こしやすい状態が重なることで発症します。そして、その背景には日々の生活習慣が大きく関係しています。

