食事の内容、時間、飲酒、喫煙…

特に影響が大きいのが「食事の内容」と「どのように食べるか」です。

脂質の多い食事はGERDとの関連が報告されており、ある研究では発症リスクを約7.6倍に高める可能性が示されていますZhang et al., 2021。また、夕食から就寝までの時間が短い、夜食をとる、早食いといった習慣も、胃酸逆流につながる可能性があります。

仕事をしながらカップラーメンを食べる男性
写真=iStock.com/Antonio_Diaz
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さらに、身体的・心理的な要因も、GERDと関連しています。

肥満(BMI 30以上)は腹圧の上昇などを介してリスクを約1.45倍に高めることが報告されており、飲酒や喫煙、ストレスなども発症リスクとの関連が指摘されていますSadafi et al., 2024Zhang et al., 2021

こうした生活習慣上の要因に加え、近年では「気象(環境因子)」がGERDに影響している可能性も示唆されています。

ある研究では、最高気温の上昇に伴ってGERDの受診リスクが約8~15%上昇することが報告されましたSeo et al., 2020。その背景には、暑熱ストレスによる自律神経機能や消化管運動の乱れが関係している可能性が考えられていますChen et al., 2025

つまり夏場は、普段の食生活や生活習慣に加え、暑熱環境による身体的ストレスも重なることで、胃酸逆流のリスクが高まりやすい季節と考えられます。

合併症につながる可能性がある

胸やけや呑酸といった症状は、一時的であれば大きな問題にならないこともあります。しかし、胃酸の逆流が長期間続くと、食道粘膜への刺激が慢性化し、さまざまな合併症につながる可能性があります。

その一つが、食道が狭くなる「食道狭窄」です。長期間にわたる胃酸逆流によって食道粘膜への刺激が続くと、組織が硬くなり、食道が狭くなることがあります。食道狭窄が生じると、「固形物がつかえる」「食事がスムーズに飲み込めない」といった症状につながり、日常生活の質(QOL)の低下を招く可能性があります。特に、重症化したびらん性食道炎では注意が必要で、未治療の患者の約10%に食道狭窄が認められたと報告されていますPisegna et al., 2004

もう一つの代表的な合併症が「バレット食道」です。長期間にわたり胃酸や胃内容物の逆流による刺激が続くと、食道粘膜が変化し、胃や腸の粘膜に似た性質を持つ組織へ置き換わることがあります。これをバレット食道と呼びます。

GERDの症状が長期間続くほどバレット食道の頻度は高まり、症状が1年以内の患者では3%であったのに対し、10年以上続く患者では20%以上に認められましたPisegna et al., 2004