失敗したらチーム全員で「祝う」

イノベーションに失敗は欠かせないとはよく言われますが、失敗を奨励することをルール化している企業もあります。『クラッシュ・オブ・クラン』などで知られるフィンランドのゲーム会社Supercellです。

Supercellでは、開発中のゲームが「面白くない」「基準を満たさない」と判断されてボツになったとき、チーム全員でシャンパンで祝杯をあげるそうです(注2)

シャンパンで乾杯
写真=iStock.com/PeopleImages
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失敗したプロジェクトについて、チームで反省会を実施することはあるかもしれませんが、前向きに反省を活かすことまでを仕組み化できている企業はそう多くありません。このようなルールによって、「失敗しても大丈夫」だという共通認識が生まれ、失敗を指摘しやすい職場環境や組織文化を醸成しているのです。

注2:「WIRED Japanese Edition:失敗にはシャンパンの祝福を──世界が夢中になるモバイルゲーム『クラロワ』を生んだミニマルな組織論」(コンデナスト・ジャパン、2017)

やらされ感をなくす「意思決定の共有」

フェーズ(2)「意思決定の背景」を開示する

フェーズ(1)で日常の称賛によって「望ましい行動」の共通認識が生まれたとしても、戦略の転換、事業の撤退、制度の刷新といった組織の方向性に関する重要な経営判断がブラックボックスのまま降りてくるのでは、現場のメンバーは依然として「やらされ感」から抜け出せません。

組織文化を形成する強力なレバレッジポイントは、経営上の重要な意思決定の背景を共有することです。どんな課題に対し、どんな議論のもと、なぜこの判断をしたのか。何を優先し、何を諦めたのか――。そうした意思決定の文脈を共有することで、組織の価値観が可視化されます。メンバーは経営者の判断基準を「自分の判断基準」として内面化できるようになり、自律的な意思決定が可能になるのです。

経営会議を全従業員に公開

サイボウズでは「チームワークあふれる社会を創る」という企業理念を体現するように、約1300名規模となった今でも経営会議を全従業員に公開しています(注3)

会議の開催前には起案内容や報告事項が公開され、Zoomでオンライン配信されるため誰でも参加することが可能。多いときで100人以上の従業員が会議に参加することもあるといいます。会議では「プレゼン禁止」のルールで、各自共有された資料を読み込んだ後、質問や議論を行うため、会議に参加できないメンバーとの情報格差をできる限り減らせるような運用がなされています(注4)

経営会議では一般的な大企業と同様、経営戦略や事業戦略、大規模投資や組織変革などさまざまなテーマが議論されていますが、とりわけ特徴的だったのが、東京証券取引所の市場区分見直しに伴う市場変更に関する議論です。サイボウズは当時、東証一部に上場しており、東証からもプライムへの上場基準を満たしていると通知されていました。

注3:「日経ビジネス電子版:サイボウズ、社長提案に『ダメ出し』歓迎 経営会議を全社員1300人に公開」(日経BP、2025)
注4:「THE HYBRID WORK:サイボウズの経営会議は『プレゼン禁止』『とことん全社公開』──組織の一体感をリモートでも保つ経営会議の運営術」(サイボウズ、2022)