汗をかいたときはスポーツドリンクが最適
一方、スポーツドリンクは、短時間に多くの発汗があるスポーツシーンなど、食事や通常の飲水では発汗によって喪失する水分と塩分を補えないような状況の際に摂取するのが基本だという。
「個人差はありますが例えば1〜2時間の運動をするときや、汗を1〜2Lかくような時は、効率的な電解質補給が必要になるので、やっぱりスポーツドリンクは有効です」
これまでなんとなく「塩分や糖分はよくないのでは?」という思いこみだけで、成分表をまじまじと見ることがなかった。実際に市販のスポーツドリンクをいくつか購入して確認すると、商品によって差はあるものの、どれもおおむね100mlあたりの塩分は0.1g程度、糖分が4〜6g含まれているものが多かった。
塩分と糖分がこの比率で含まれることで吸収効率が上がり、疲労回復にもつながるという。
※出典
・Olsen WA, Ingelfinger FJ. The role of sodium in intestinal glucose absorption in man. J Clin Invest. 1968;47:1133–1142. doi:10.1172/JCI105802.
・Shi X, et al. Effects of solution osmolality on absorption of select fluid replacement solutions in human duodenojejunum. J Appl Physiol. 1994;77:1178–1184. doi:10.1152/jappl.1994.77.3.1178.
・Gisolfi CV, Summers RD, Schedl HP, Bleiler TL. Effect of sodium concentration in a carbohydrate-electrolyte solution on intestinal absorption. Med Sci Sports Exerc. 1995;27:1414–1420.
・Gisolfi CV, Summers RW, Lambert GP, Xia T. Effect of beverage osmolality on intestinal fluid absorption during exercise. J Appl Physiol. 1998;85:1941–1948. doi:10.1152/jappl.1998.85.5.1941.
500mlのスポーツドリンクを1本飲むと、塩分はプロセスチーズ1個分、糖分は食パン1枚分程度を摂取することになる。もちろん、塩分は発汗にともなう喪失分を補うために必要だし、永島さんによれば、糖分は運動による代謝で消費されるため、相殺されやすい。
「個々の発汗量が違うので一概には言えないですが、摂取量の目安は、1時間あたり500ml〜1000mlです。発汗量に応じて調整してください。発汗量は、前後に体重を測ってみると分かります」
発汗機能の低下にも注意を
なお、私はつい「カロリーゼロなら罪悪感がない」とカロリーゼロのドリンクを選びがちだ。しかし永島さんによれば、カロリーゼロの人工甘味料は吸収されないため、糖分と塩分の吸収率のバランスが崩れてしまうという。本当にたくさん汗をかく場面では要注意だ。
「血圧を気にしている方でも、すごく汗をかく場合には、やっぱりスポーツドリンクを補充してあげると、熱中症の症状を出さないという意味では役には立ちます」
不安に感じていたペットボトル症候群については、全国清涼飲料連合会によると、無自覚の糖尿病患者が、100gあたりの炭水化物が10g程度の飲料を1日1.5リットル以上、1カ月以上継続飲用している場合に該当するという。
糖分が100mlあたり10g以上含まれている清涼飲料水は、コーラやサイダーなどの炭酸飲料がほとんどだ。永島さんも、「ペットボトル症候群は、炭酸飲料の過量摂取に起因していると思います」という。
とはいえ、スポーツドリンクに含まれる糖分も、多量に摂取すれば糖分過多になりかねない。
「2時間以上の運動など、長時間汗をかくような場合は、スポーツドリンクと組み合わせて、その間に軽食をとれるならその方がよいです」と永島さん。例えば1時間大汗をかいて発汗機能が低下した場合は、運動を中断して休憩をとり、体を冷やして水分と電解質を補給することで、発汗機能の低下が改善することが多いという。
※出典
・Sawka MN, Young AJ, Francesconi RP, Muza SR, Pandolf KB. Thermoregulatory and blood responses during exercise at graded hypohydration levels. J Appl Physiol. 1985;59:1394–1401. doi:10.1152/jappl.1985.59.5.1394.
・Candas V, Libert JP, Brandenberger G, Sagot JC, Amoros C, Kahn JM. Hydration during exercise: effects on thermal and cardiovascular adjustments. Eur J Appl Physiol Occup Physiol. 1986;55:113–122. doi:10.1007/BF00714992.
・Armstrong LE, et al. Thermal and circulatory responses during exercise: effects of hypohydration, dehydration, and water intake. J Appl Physiol. 1997;82:2028–2035. doi:10.1152/jappl.1997.82.6.2028.

