ベンチャーへのリスペクトが足りてない
私は、日本のスタートアップ投資の根本的な問題は、未上場と上場の世界が分断されていることにあると思っています。未上場のときは、投資してくれるベンチャーキャピタルもある意味ではスタートアップの仲間であり、「一緒に会社を大きくしよう」と頑張ってくれます。
IPOを目指し、監査法人や証券会社ともスクラムを組み、「みんなで頑張ろう」と熱く盛り上がる雰囲気がありますし、スタートアップの祭典のようなイベントも多く、とにかく熱量がある世界です。
ところが、いざ上場承認を得て、機関投資家を訪問して成長戦略を説明する「ロードショー」がスタートすると、起業家はそのギャップに驚くことになります。目の前に現れるファンドマネージャーやアナリストたちは一様に冷たく、根掘り葉掘り質問される状態は、まるで解剖学者に「そこに寝て中身を見せろ」とでも言われているような気分になるものです。
そこには、起業家へのリスペクトもあまりありません。熱量のある祭りの世界から、一気に絶対零度の世界へ放り込まれるようなものといっていいでしょう。この分断には制度的な背景もあります。ベンチャーキャピタルの世界は経済産業省の色が強く、上場後は金融庁のルールが前面に出てきます。そして、経産省と金融庁では、カルチャーも価値観もかなり違います。
上場株のファンドマネージャーやアナリストは、未上場の世界を「決算数字もなく、よくわからない野蛮な世界」と見ているふしがあります。一方、ベンチャーキャピタリストは、上場株の世界を「ルールが多く、規制されすぎた退屈な世界」と見ています。両者は、ほとんど交わらないのです。


