企業の成長を妨げている「真犯人」

起業家ばかりに責任を押し付けるのではなく、投資家サイドが頑張らなければならないと思うのです。

そもそも日本でGAFAMに対抗するような規模のスタートアップがなかなか現れず、最初は順調に伸びていた会社も上場が見えてくるとなぜか小粒になってしまうケースが多かったのには、明確な理由があります。日本の学校教育が悪いのでも、日本の起業家のレベルが低いのでもありません。問題は、投資制度にあるのです。

スタートアップがIPO(新規株式公開)に至るまでには、シード、アーリー、レイターの3つのステージがあります。シードやアーリーでは、エンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC)の支援で会社はぐっと大きくなっていきます。

株式市場グラフによるIPOコンセプト
写真=iStock.com/AlexSecret
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ところが日本では、IPO前のレイターステージになると、急に投資家がいなくなってガス欠になることが多いのです。なぜなら、投資家がIPOを出口にして株を売ってしまうからです。これが日本のスタートアップの成長を妨げている最大のボトルネックであり、“死の谷”と呼ばれます。

上場自体が「スーパー無理ゲー」な日本

本来ならレイターステージは、上場も近く、人材も揃い、ここから一段と大きく伸びる非常に大事な時期です。実際、アメリカでは未上場から上場後まで一貫して投資する投資家が多くいます。ところが日本では、未上場と上場の世界が完全に分断されていて、レイターステージになると資金調達が急に難しくなってしまいます。

書影
藤野英人『「日経平均10万円」時代に備えろ』(日経ビジネス人文庫

日本のスタートアップが小粒になってしまうのは、まさにここが原因なのです。しかも日本の場合、私も上場したからわかるのですが、とにかく上場が「スーパー無理ゲー」なのです。というのも、上場が近づくと2年くらい前から「新規事業はやるな」と言われるのです。

「新規事業を始めると、上場審査の過程でちゃんとモニタリングできない。だから今は余計なことをするな」という理屈で、本来なら一番伸び盛りの時期に、新しい仕込みができない状態になってしまうわけです。そうやってようやく上場したグロース市場は、あまり冴えません。

昨今は「時価総額100億円問題」もあって、グロース市場はますますお金が集まりにくくなっています。「喉がカラカラの状態でようやく上場まで走り切って、そこにオアシスがあると思ったら、実際には砂漠だった」という世界なのです。