物価高で実質的価値は下がるが…

ちなみに株主優待とは、企業が株主に対して定期的(通常、年1回もしくは2回)に自社商品やお食事券・買物券などを贈るもので、日本独特の制度です。

株主優待の実施は任意ですが、外食、小売、そして鉄道会社など、我々消費者に身近な企業の多くが実施しており、そんな株主優待を目当てに株式投資をしている人も少なくありません(私もその一人です)。とくに昨今の物価高においては、定期的に送られてくる株主優待(商品や金券等)は家計の大きな助けにもなり、優待投資は、物価高対策の1つとも言えるでしょう。

ただ、株主優待の多くは、「○○円分相当の自社商品」や「○○円分のお食事券」など、その内容が商品であれ、金券の類であれ、「○○円分」と、金額ベースとなっています。ですので、この物価高(お金の価値が下がる)において、多くの株主優待の実質的な価値は下がっているのが現状なのです。

そんな状況を受けてか、最近は、「これだけ物価が上がっているのだから、株主優待の金額も上げてよ」といったボヤキをよく見ますが、残念ながら、株主優待の金額が増額されるケースは稀です。

物価高に強い優待とは

そのような状況ですから、「○○円分」と金額ベースではなく、(冒頭に紹介した近鉄の優待のように)商品そのものの株主優待は、数は少ないものの、この物価高においては非常にありがたく、そして頼もしいでしょう。物価高となれば、その実質的な価値は上がるのですから。

ちなみに、近鉄をはじめ、東急(株主優待乗車証)や九州旅客鉄道(鉄道株主優待券1日乗車券)など、交通系の株主優待に、そのようなタイプの優待(金額ベースではなく商品そのもので、物価高においては実質的価値が上がるタイプ)は比較的よく見受けられます。

また、オリエンタルランド(1デーパスポート/東京ディズニーランドまたは東京ディズニーシー)やサンリオ(電子チケット/テーマパーク共通優待券)など、レジャー系の株主優待にも、そのようなタイプの優待は見つけやすいです。今、東京ディズニーランドなどレジャー施設の入場料は、とくに大きく値上がりしていますから、注目かもしれませんね。

サンリオピューロランド
写真=iStock.com/Marvin Samuel Tolentino Pineda
※写真はイメージです

*オリエンタルランドの株主優待は500株以上保有時だが、100株保有でも3年以上継続保有であれば受け取れる。なお、2026年9月末に限り、継続保有条件なしで100株株主でも受け取れる(上場30周年特別優待として、通常優待に追加)。

ただ、これら交通系・レジャー系の株主優待は、株主の住んでいる地域や行動範囲に縛られるので、優待目当ての投資対象としては、その選択肢はかなり限られます。その優待がどれだけ魅力的でも、自身が活用できなければ意味がないですからね。

【図表1】物価高で実質価値の上がる鉄道・レジャー系株主優待の例