支持率が下がっても円安阻止に動かず

海外の大手投資家の中には、このままだと、日本は「サナエ・ショック」に見舞われるとの悲観論すら出始めた。彼らは、長期、超長期国債の空売りを仕掛けつつあるようだ。

高市政権は、そうした危機感を共有しているとは言いづらい。7月中旬、複数の世論調査で高市首相の支持率は大きく低下した。50%を下回る結果もあった。その後でも、高市政権は円安を阻止し、財政健全化に舵を切る姿勢を明示しなかった。

一国の最高意思決定権者が、本気で自国通貨の下落を歓迎するとは考えにくい。ただ、それなりの政策や発言がないのはいかにも不自然に見える。また、財政悪化に危機感を示さない。

この状況が続く間、趨勢として、円は下落するだろう。金利も上昇するはずだ。海外投資家の円売り攻勢は、国内個人投資家の円キャリートレードの増加にもつながる。現状、その状況に歯止めを掛けようとしているのは、片山財務大臣ひとりと指摘する大手投資家も多い。

記者会見を行う片山さつき財務大臣
記者会見を行う片山さつき財務大臣(写真=財務省/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

舵を切り、失った信頼を取り戻せるか

7月、中東情勢の緊迫感は再度高まった。原油価格には上昇圧力がかかりやすくなった。AI一極集中で、先端から汎用型まで半導体の調達遅延や不足も深刻だ。国内では、人手不足などによって供給が需要を下回り始めた(インフレギャップの出現)。

その状況下で円安が進むと、国内企業は価格転嫁を加速させざるを得ない。日銀の金融政策の正常化が遅れるとの観測から、物価上昇予想は増える。長期金利にも上昇圧力がかかる。骨太の原案にある危機管理投資は悪い金利上昇につながる。

マグマがたまるように、金融市場では円売り・日本国債売りをセットで行う投資家が増加するだろう。その結果、どこかのタイミングで、円と日本国債の価格が急落し、わが国の経済が後退に陥るリスクが出てきそうだ。

ただ、「サナエ・ショック」を防ぐ方法はある。高市首相が冷静にわが国経済の現状を分析・理解し、適切な経済政策へと舵を切る姿勢を示せばよい。それがなるか否かで、目先だけでなく中長期的な日本経済の展開に影響があるだろう。

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