改正典範には「次の改正」が織り込まれている

それらに加えて、改正典範の附則にわざわざ見直し規定(第6条)が入れられた事実がある。「30年ごとの見直し」(同条第2項)という部分だけが注目されて、あたかも30年間手つかずのまま放置されるかのような誤解がある。しかし、その前項に次の規定がある(同条第1項)。

「施行の状況を踏まえて所要の検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて所要の措置が講ぜられるものとする」

極めて曖昧な条文だ。だからほとんど無意味な空文と錯覚してしまうかもしれない。だがそうではない。むしろ立法府が真に国民の負託に応える覚悟をもつならば、活用次第でこれまで述べてきたあらゆる弊害を是正できる、万能の条文になり得る。

しかも「必要があると認められるときは」とある。「30年ごと」とは別に、いつでも「所要の措置」をとることができる規定になっている。

これは、附帯決議に「必要があると認められるときは、適時適切な措置が講ぜられるものとする」とあるのと、対応している。欠陥典範を「適時適切」に是正するたしかな足がかりが、すでに与えられている事実を見逃してはならない。

さらに政府側の国会答弁でも、「(改正典範の規定は)立法府における将来の検討を先取りしたり、縛ったりする趣旨のものではない」(7月10日の衆院議院運営委員会での木原稔内閣官房長官の答弁)という発言が、繰り返されている。

「附則―附帯決議―政府答弁」のつながりによって、改正典範は成立のはじめから次の改正(改悪の是正)を織り込んでいる、珍しい法律であることが分かる。

「安定的な皇位継承」が確保されていない

その上、附帯決議には次の項目もある。

「安定的な皇位継承を確保するための方策について、引き続き、検討するものとする」

これは、養子案を恒久制度化しても「安定的な皇位継承」が必ずしも「確保」“されない”ことが、国会自身によって確認されたことを意味する。ならば安定的な皇位継承の確保策は、消去法によって一つしかないことになろう。

一夫一婦制で少子化なのに伝統でもない「男系男子」限定という、皇室典範が今回の改正後も抱え続ける構造的な欠陥を解消すること。すなわち女性天皇、女系天皇を可能にすることだ。