「すごく面白いものができた」と「やばいかな」

実はメジャーデビューの少し前にも、仏教への見方が変わり、曲作りの転機になった出来事がある。ある地方でライブを行った際、「故郷を想う」曲を歌うと、終演後に老夫婦が薬師寺さんの元にやって来た。そして、「曲を聴いていたら、自分を育ててくれた人のことを思い出した」と話してくれたのだという。

「その時、自分が歌で伝えていることと、父(住職)が法要でしていることはそれほど差がないのではないかと感じました。それまで仏教(僧侶)と音楽(ミュージシャン)を明確に線引きをしていたのですが、“分ける意味ってなんだろう”と思ったのです」

修行時代での読経によるインスピレーション、「これで音楽を作りたい」という気持ちを大事に、薬師寺さんは『般若心経』にメロディーを乗せて歌ってみたいと思い立った。