受験を忘れて温泉旅行へ行く
浄土真宗大谷派の僧侶として活動するかたわら、東京・中野で「坊主バー」を開いております。
いろいろなお客さまがいらっしゃって、お酒を飲みながら人生相談をされていくのですが、悩みの根っこはすべて一緒。煩悩です。
「もっと欲望を満たしたい」「自慢できるステータスが欲しい」という欲望があるから、人は苦しむのです。
私は煩悩があったらいけないとは言いません。問題は、煩悩の存在自体から目を背けること。受験でいえば、「ここで叱るのはこの子のため」と思って「あなたのために言っているの」なんて小言を言っていませんか。勉強してほしいのは、子供ではなく、親のためではありませんか。
少し賢い子なら、親のエゴを見抜いています。親戚や友達の親の前で子供の成績を自慢したり、あるいは「うちの子なんか」と卑下している光景を子供はちゃんと見ています。
そういう親の下心を見ていながら、そして見ていたからこそ、2年以上も親に褒められたい一心で頑張ってきてくれたのです。
親は自らの煩悩に向き合ってください。そして、それに付き合ってくれた子供への感謝を言葉にして伝えてやってください。
最後の1カ月でぜひやっていただきたいのが、温泉旅行。非日常的な空間で、一晩だけ受験生の親子であることを一度忘れるのです。
そして、親自身の考えや気持ちを語ってやってください。自分自身が受験をして苦しかったこと、悩んだこと、それをどう乗り越えたか、なぜ子供に受験をさせようと思ったのか、これまでの子供の努力をちゃんと見ていたこと、すべて包み隠さず話してやりましょう。
温泉のようなゆったりした空間なら、英気も養えますし、普段言いにくいことがスラスラと出てきます。
そこには普段考えている「○○中に入ってほしい」とか、「誰々さんの家の子に負けないでほしい」といった価値観よりもっと根源的な、子への初心が表れるはずです。
これまで親の気持ちを受け入れてくれた子なら、これを聞いて気持ちも新たに頑張ってくれるでしょう。
(坊主バー店主 釈源光氏)
祖父母の家で勉強させる
受験の直前期は、親も子供もピリピリしがち。
一緒に勉強に取り組んできた親子間では、お互いに愚痴も言いづらいですし、ちょっとしたきっかけで喧嘩になってしまうこともあります。
そこで祖父母の家に子供を預けて勉強させるのがおすすめです。子供は祖父母になら遠慮せず甘えることができますし、親もなかなか勉強が進まない子供の姿を目の前で見るストレスから解放されます。少し勉強や受験からも離れられます。
試しに一度、やってみてください。きっと祖父母の家から帰ってきたわが子の表情は生き生きとしているはずですし、子供のいない家で親もリラックスできるでしょう。
祖父母の家が遠方の場合には、受験をあまり意識していない親戚の家に預けるのもいいかもしれません。
(麻布個人指導会 前中映先生)